明治安田生命J1リーグ第24節の2試合が18日、行われた。埼玉スタジアムでは浦和レッズと名古屋グランパスが対戦。半月前の天皇杯4回戦において浦和サポーターの違反行為が起きたことでも注目された試合だが、リーグの上位対決らしい熱い好ゲームが繰り広げられ、結果は浦和が1−0で勝利を手にした。

上写真=決勝点をスコアした浦和のホセ・カンテ(写真◎Getty Images)

ともに収穫の多い一戦

 3位名古屋グランパス、4位浦和レッズの直接対決、勝ち点は名古屋が45、浦和が38と7ポイントの差があり、浦和にとっては敗れてしまうとその差が10に拡がり、トップ3入りが難しく6ポイントマッチだった。結果はホームの浦和が1-0で勝利をつかみ、3位以内、さらには優勝への望みもつなぐ結果になった。

 とはいえ、試合後に名古屋の長谷川健太監督「(結果は)悔しいが、下を向くような内容ではなかった。(決勝ゴールとなった)カンテのシュートはほめるべきだが、あとはチャンスを作られていなかったし、我々の方が多く作れていたので次につながる」と話したように試合を優勢に進めて多くの決定機を作りだしたのは名古屋だった。特に後半はほぼ一方的に相手を押し込んだが、浦和の守護神・西川周作の好セーブに遭い、またシュートの精度を欠いたこともあってネットを揺するには至らなかった。

 この日はキャスパー・ユンカーが浦和からのレンタルのため出場できず、マテウス・カストロはサウジアラビアのアル・タアーウンへ移籍、さらに和泉竜司が負傷で欠場と、半月前に天皇杯4回戦で3-0というスコアで浦和を退けた試合において3点を挙げた選手がすべてピッチに立つことができないという事情もあった。

 それでもこの夏にサンフレッチェ広島から移籍してきた森島司が効果的な動きとパスセンスでチャンスに絡み、オランダのユトレヒトから復帰した前田直輝が後半から登場して右サイドで再三のチャンスを作り、J2の藤枝MYFCから加わった久保藤次郎も78分に初めてJ1の舞台に登場して持ち味の鋭いドリブルを見せた。アディショナルタイムには稲垣祥の鋭いパスから抜け出してあわや同点ゴールのチャンスをつかむなど、新戦力が期待通りの働きを示した。マテウスという絶対的なエースが抜けただけに攻撃力の低下も懸念されたが、そんな心配も吹き消すようなプレーぶりだった。

 3人の適応は好材料で、ここまで積み上げてきた厳しいプレスと安定した守備や両ワイドを幅広く使う攻撃も成熟度を増した印象で、この日は敗れたもののまだまだ優勝争いに食いついてゆくだろうと思わせた。

 一方の浦和は、プレー全体の内容はもう一つながらリーグ戦の勝利は実に5試合ぶりということで、直接順位を争う相手に勝ったことには大きな価値があった。マチェイ・スコルジャ監督も「勝ち点3を目指して高いモチベーションを持ってハードワークできたところは、非常に良かったと思います」と胸をなでおろしていた。今シーズン結果を残してきた要因である堅守は健在で、最大の問題点だった決定力という点でもホセ・カンテが前節広島戦に続いての見事なゴールを決めている。さらに調子を崩してリーグ戦では実に13試合ぶりのスタメン出場となった小泉佳穂も前半のみのプレーながらライン間での受けやスムーズなターンから攻撃のリズムを作って復活をアピールした。

 ポジティブな面が見受けられ、今後、中島翔哉や安部裕葵がフィットすれば、ここからさらに上昇する可能性もあるだろう。

勝利を目指して激しく争った好ゲームは、両チームが優勝への可能性を残すこととなった。J1は残り10節。まだまだし烈な争いが続く。

取材・文◎国吉好弘


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