上写真＝今季リーグ戦初先発の小林悠が抜け目なく先制点（写真◎J.LEAGUE）
■2023年5月28日 明治安田生命J1リーグ第15節（@等々力/観衆20,207人）
川崎F 2-0 柏
得点：（川）小林悠、登里享平
井原監督は「もっとリスクを犯して…」
出場停止明けの脇坂泰斗に2試合連続先発の大島僚太、今季リーグ戦では初先発となる小林悠に、家長昭博、宮代大聖と魅惑のアタック陣を組んできたのがホームの川崎フロンターレ。井原正巳監督が指揮を執ってリーグ2試合目の柏レイソルは、攻撃の中心であり続ける細谷真大と小屋松知哉に、負傷明けの仙頭啓矢と2試合連続先発の山田康太がピッチに立って攻撃のユニットを組んだ。
その効果をいかんなく発揮したのは、川崎Fのほう。開始早々から数え切れないくらいのチャンスを作り続けて柏を攻め立てた。家長がフリーマンとなり、大島と脇坂が受け手にも出し手にもなり、前線では小林と宮代が相手守備ラインの裏をランで突き破る。
ただ、21分の先制点は意外な形から。川崎Fの左サイドで柏がスローイン、ボールを受けた立田悠悟が少しボールを離したスキを小林が見逃さずに奪って、そのままゴールに流し込んだ。その後も何度もパスとランのコンビネーションで柏の守備網を破り、次々にビッグチャンスを作ったが、相手ミスからのゴールだけだったのは物足りなかった。
だが、そのうっぷんを晴らすような目覚ましい一発を、登里享平が決めてみせた。45＋1分、大島が左に大きく展開し、登里がドリブルを始めると、内側のスペースを取った脇坂に当てて落としをもらい、一つ持ち出して右足でゴール右に突き刺した。
川崎Fのボール回しに、柏の期待の攻撃陣は守備に奔走するばかり。その山田と仙頭は前半でピッチを退き、代わってフロートが最前線に、武藤雄樹がトップ下に入り、細谷が右サイドハーフに回って逆襲を狙う後半になった。
この交代策で柏がチャンスを作ったのは51分。相手ミスを細谷が拾い、高嶺朋樹がドリブルで持ち出すカウンターをスタート、右にフロート、中央に小屋松、左に武藤という選択肢から、高嶺が選んだのはフリーの武藤。しかしシュートは右に外れていった。
このチャンスを逃すと、ここからはまた川崎Fの時間。前半ほど多くはチャンスを作れなかったものの、要所を抑えた危なげない試合運びで最後まで締めた。
川崎Fはこれでリーグ戦で3試合ぶりの勝利。鬼木達監督は「今日は今シーズンのベストに近いゲームをしてくれた」と選手をたたえた。「本当は3点目を取りたかった」と高みを見つつも、「相手もパワーを上げてきましたし、守るのではなく攻撃の中でゲームをコントロールしたことは選手が進歩していると思います」と上昇のきっかけを感じていた。
リーグ戦2試合目の指揮となった柏の井原正巳監督は、川崎Fに握られる想定だった主導権をどう奪い返しにいくかをテーマに臨んだと振り返る。しかし、「自分の選手へのアプローチのところで、もっとリスクを犯して奪いにいくようにしてもよかったかなというのは自分の反省点」とマネジメントに悔いを残した。
