上写真=先制ゴールを決めた鹿島のFW鈴木優磨(写真◎J .LEAGUE)
■2023年5月14日 明治安田生命J1リーグ第13節(@国立競技場/観衆56,020人)
鹿島 2−0 名古屋
得点:(鹿)鈴木優磨、知念慶
続けてきたことが実を結んでいる(岩政監督)
立ち上がりは鹿島のプレスがハマらず、名古屋が押し込んだ。開始5分までに2度CKを得るなど、試合の入りは名古屋が優勢。だが、鹿島も中央を固く閉じて決定的な場面を作らせない。すると12分、シンプルにボールを動かして右サイドを攻略した鹿島がCKの機会を得た。
樋口が蹴ったボールがファーサイドで待っていた鈴木へ届く。誰よりも高く飛び上がった鹿島のキャプテンが頭を振ると、シュートはゴール左下に突き刺さった。
鹿島が先制に成功したかに思われたが、VARを経てゴールは取り消されることになった。樋口がコーナーからボールを蹴り入れる前、ボックス内のポジション争いの中で鈴木が稲垣のプレーを故意にブロックしたと判定されたからだ。鹿島の選手たちは抗議の姿勢を示したが、当然ながら覆らず。試合は0−0のまま続行されることになった。
誰より悔しさを露わにしていた鈴木は、それから17分後、ピッチ上で幻となったゴールを再現してみせる。取り消しとなったのと同じような形から今度は正真正銘のゴールを奪ってみせた。右CKの場面で樋口が送ったボールを再びファーサイドでヘッド。シュートは名古屋のDF野上に当たってゴールに吸い込まれた。
見たか!と言わんばかりにアピールする鈴木を仲間たちが祝福してながら主審から引き離す。いらぬカードを受けないための配慮だろう。悔しさを力に変えて生み出したゴールによって、鹿島が先制に成功した。
鹿島リードで迎えた後半は開始から1点を追う名古屋が攻撃姿勢を強めていった。トップ下のマテウス・カストロ、ユンカーと永井の2トップに加え、両アウトサイドが積極的に前に出てゴールへのルートを探っていく。ただ、攻撃に切り替わった際の最初のパスの精度が低く、その後の攻めを難しくした。結果、鹿島の球際の激しさに押されてボールを失うプレーを繰り返すことになる。
一方で鹿島もボールは奪うものの、敵ゴール前に到達する前にロストするケースが散見。敵陣で奪ってもパスが乱れていい形でフィニッシュに持ち込めない時間が続いた。だが、試合時間が残り10分を切り、勝負を決める1点をつかみ取ったのは鹿島だった。
83分、GK早川からのロングキックを知念が頭でつなぎ、カイキからのリターンを受けてシュート。GKランゲラックに1度はストップされたが、跳ね返ったボールを樋口とカイキで回収し、こぼれたところを再び知念がシュート。鹿島が欲しかった追加点をスコアした。
試合はそのまま2−0で終了。30年前の開幕戦同様に名古屋を無失点に抑えた鹿島は注目を集めた試合に快勝した。
「選手たちが素晴らしかったですね。攻守ともに先週までの4連勝でできたことプラス、詳しくは言えないですけど少しアップデートしたところがあって、それも出してくれたことがよかったですね。(5連勝ですが?)選手たちとサポーターが苦しい前半戦を乗り越えて、その時も続けてきたこともたくさんあって、それが実を結んでいるんだと思いますし、サポーターも苦しい時期にサポートしてくださって、それが形になっているんだと思います」
鹿島の岩政大樹監督は勝利にも浮かれることなく、冷静に試合を振り返った。これでリーグは5連勝。しかも無失点。勝利を重ねることでチーム状態は着実に上向いているが、30周年記念マッチというビッグゲームに勝利したことで、ここからさらに加速することになるかもしれない。