上写真＝知念慶が値千金の追加点を決めて吠える！（写真◎J.LEAGUE）
■2023年5月14日 明治安田生命J1リーグ第13節（@国立競技場/観衆56,020人）
鹿島 2-0 名古屋
得点：（鹿）鈴木優磨、知念慶
「結果を出さないと、またチャンスをもらえない」
左サイドでGK早川友基のロングキックに競り合うと、足を止めずにそのままゴール前に走った。流れたボールを収めたアルトゥール・カイキから、優しいパスが出てくる。右足を振った。しかし、GKランゲラックに止められてしまった。
だが、ツキは残っていた。そのこぼれ球を名古屋が小さくつなごうとしたところで守備に加勢しようと立ち上がると、足下にボールがこぼれてきた。ゴール方向に切れ味鋭くターンして、ユニフォームを引っ張られながらも抜け出して、左足でボールをたたいた。ボールはゴール左に飛び込んだ。そして、アントラーズレッドに染まるゴール裏に一直線。
知念慶、7試合ぶりのゴール！
29分に先制したあと、もう1点が遠い。そんな苦しむチームを力強く勝利へと近づけた84分の追加点だ。シュートの瞬間、立ち足の右足が滑ったが、うまく左足をボールにおっつけてインパクトした。
「あれはもう、気持ちっす」
晴れやかな笑顔でそう話して、「それよりも」と言葉をつなぐ。
「シュートシーンよりは、その前にターンして、2人を外した部分が大きかったかな。シュートシーンはもう覚えてないぐらいで」
一度止められて、でも樋口雄太がすぐに切り替えてボールを奪うのを見て、あきらめなかった。
「味方がすぐ切り替えてくれたのが大きかったと思います。そのあとすぐにゴールに向かったんで、成長しましたよ」
冗談めかして自画自賛した。中谷進之介と野上結貴の邪魔を物ともせずに力強く抜け出した一連の動きに、今季、川崎フロンターレから鹿島に移籍して自らを高めてきたことの象徴的なワンシーンだとした。
「ちょっと悠さんばりじゃなかったですか？」
川崎Fのベテランストライカー、小林悠がペナルティーエリアの中でくるりとターンして決める姿を何度も見てきた。「僕とはタイプが違うから」と話しながらも、先輩の美しい所作は体と頭に染み込んでいたわけだ。
これで、5試合連続完封勝利。知念自身は第9節以降、先発を外れているが、7試合ぶりのゴールに声も弾む。
「結果を出さないと、またチャンスをもらえないと思っていたので、途中から入るときもいつもゴールを目指してやっていました。そういう悔しい思いが今日の結果につながったかな」
鹿島に役者が揃ってきた。
