J1第8節が4月15日に行われたが、アルビレックス新潟が大興奮の逆転勝利を手にした。アビスパ福岡をホームに迎えたが、前半はいいところがなく0-2とビハインド。後半開始早々にFKを直接決めた伊藤涼太郎が、アディショナルタイムに一気に2ゴールを決めて大逆転に成功、ホームで4試合ぶりの勝利をもぎ取った。

上写真=伊藤涼太郎が自身J1初のハットトリックで逆転勝利。仲間に胴上げされる(写真◎J.LEAGUE)

■2023年4月9日 明治安田生命J1リーグ第8節(@デンカS/観衆16,692人)
 新潟 3-2 福岡
 得点:(新)伊藤涼太郎3
    (福)今野和也、小田逸稀

画像: ■2023年4月9日 明治安田生命J1リーグ第8節(@デンカS/観衆16,692人) 新潟 3-2 福岡 得点:(新)伊藤涼太郎3 (福)今野和也、小田逸稀

「転がってきたボールに感謝」

「気持ちですね。とにかく絶対に決めると。どんな形でもいいから、僕じゃなくてもいいから絶対に3点目を押し込むという気持ちで戦ったので。その結果、僕のところに転がってきて、転がってきたボールに感謝したいと思います」

 興奮は隠す必要はない。反撃の1点目は無表情、同点の2点目も無表情、そして最後に、大逆転で最高の笑顔だ。アルビレックス新潟の伊藤涼太郎が見事なハットトリックで勝利をもぎ取ってみせた。

「前半は全然良くなくて、福岡さんに良さを消されたので、絶対に逆転できると信じてハーフタイムに気持ちを切り替えた」

 伊藤の言葉を待つまでもなく、前半は無力だった。PKとCKから2点を失った。松橋力蔵監督も「自分たちはいなかった。福岡さんしかいなかった。自分たちで首を絞めてしまった」と厳しく振り返る低調ぶりで、0-2のスコアは妥当だった。

 そのハーフタイム、松橋監督は「サッカーではこういことはよくあること。我々にできないことはない」と諭したという。それをすぐさま形にしたのが、伊藤だ。

 後半開始早々の47分、太田修介が倒されて得た左寄りのFKを伊藤がセットする。「クロスよりシュートを打つのはボールをセットしたときから決めていた。気持ちで決めました」。中央に蹴る仕草を見せてから、右足をコンパクトに振り抜いてニアを打ち抜き、ゴールをこじ開けた。

 それでも堅さを取り戻した福岡の守備に再び苦しめられ、1-2でアディショナルタイムを迎えてしまう。だが、ここからだった。

 90+3分、トーマス・デンが最終ラインから縦パスを差し込み、受けた伊藤がターンして中の谷口海斗に預けると、迷わずその谷口に向かって走った。落としてもらったボールを、右足でまたも鋭く振り抜くと、再びゴール左を破った。

 ついに同点。でも、ここで終わらせるつもりはなかった。

 2分後、左サイド深くに入った小見洋太が逆サイドまでクロス、拾った松田詠太郎が島田譲とパス交換して軽やかに縦に突破してマイナスへ、谷口がシュートしたボールはDFに当たったが、こぼれたボールは吸い寄せられるように伊藤の足元にこぼれてきた。そして、右足で低く鋭くずばり。1点目と2点目を決めたときは笑顔がなかったが、この逆転ゴールでは、叫んだ。

「堅くてなかなかこじ開けられなかったけれど、それでもあきらめずに最後までやりきった結果、こうやって3-2で勝つことができて、本当に気持ちいいです!」

 それでも松橋監督は「やればできるけれど、やるかやらないかは自分たち次第」と戒めるように締めくくった。4試合ぶりの白星で、伊藤は「これを期にさらに勢いをつけていきたい」と表情を引き締め直して誓った。

 フラッシュインタビューを終えた伊藤は、ピッチ中央に集まった仲間の元へ走っていった。いつもホームゲームで行われている勝利の儀式は、伊藤の胴上げだった。自身J1初の、クラブとしてはJ1で6度目の、そしてJ1通算では258回目のハットトリックを、そして大逆転勝利をかみ締めるように、6度、宙を舞った。


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