過去5季の中で守備は最も良かった
--ガブリエル・シャビエル、高嶺朋樹(現柏レイソル)らは退団しましたが、ヴィッセル神戸から小林祐希、サンフレッチェ広島から浅野雄也、東京ヴェルディから馬場晴也が新たに加わっています。新戦力がもたらしているプラスアルファはありますか。
ペトロヴィッチ監督 札幌は、すでにコンセプトが確立されています。私が監督に就任してから5シーズンかけて積み上げてきましたから。チームによって、それぞれ考え方はあると思いますが、札幌の場合は新加入選手がわれわれのやり方に合わせないといけない。ですので、個の力がそのままプラスされるわけではありません。
--新戦力は札幌のスタイルにうまくフィットしていますか。
ペトロヴィッチ監督 個人差はありますが、徐々に馴染んできています。小林はどちらかといえば、オン・ザ・ボールの選手。ボールを受けて、ゲームをつくっていくタイプです。札幌はポジションに応じて、それぞれ明確な役割があります。彼はオフ・ザ・ボールでも、自分のタスクをこなさないといけない。経験のある選手なので、チームに溶け込みながら自分の特徴を生かしてくれると思いますが、そう簡単ではありません。馬場は走力があり、球際の強さが売り。技術面、戦術面では学ぶべき点がありますけど、まだ21歳です。伸びしろはあると思います。一方、浅野は昨季途中から試合にほとんど出場していなかったので、試合勘、試合体力が戻ってくるまで、少し時間が必要です。それでも、彼はスピードがあり、独力で相手をはがす強みがあるので、アジャストしてくれば、面白いでしょうね。
--昨季からの上積みで、気になるのは守備面です。総失点数「55」はJ1に残留した16チームではワースト記録。10試合で無失点に抑えながらも、大量失点する試合も目立ちました。
ペトロヴィッチ監督 総失点数だけにフォーカスすれば、確かに最も多かったですが、私はその数字だけで昨季の守備を評価できないと思っています。むしろ、過去5シーズンを振り返れば、最も良かったという感覚があります。積み上げることで、良くなってきています。前線からの守備が機能し、強豪を無失点に抑え込んだ試合があったのも事実です。34試合の内実を見てもらいたい。4失点以上したゲームが5試合。そのほとんどが、守備陣に何らかのアクシデントが生じて、苦しい戦いを強いられました。そこで多くの失点数を重ねてしまった……。
--今季、札幌で6年目を迎えています。過去に広島で6年目、浦和でも6年目のシーズン途中にクラブを離れました。どのような思いで、2023年シーズンに臨んでいますか。
ペトロヴィッチ監督 過去の在任期間を見れば、6年目は『鬼門』と言ってもいいかもしれません。最近、ずっと連れ添ってきたコーチ兼通訳の杉浦大輔とよく話をするんです。『6年目を超えて、7年目に突入しよう』と。6シーズン目を乗り切り、7シーズン目を迎えるのは目標の一つになっています。