上写真=小林悠は「自分自身に期待しています」と頼もしい(写真◎J.LEAGUE)
「背中で引っ張る、じゃないけれど」
川崎フロンターレは勝つしかない。
一時は8にまで広がった首位の横浜F・マリノスとの勝ち点差は、2に縮まった。残りは2試合。川崎Fは勝ち続けて横浜FMの結果を待つだけだ。
天皇杯決勝とルヴァンカップ決勝が行われたブレイクを挟んだあとの10月29日に、第33節のヴィッセル神戸戦を迎える。これが早いもので、今季のホームでのラストマッチだ。チケットは完売。小林悠は自信に満ちている。
「たくさんの人が応援に来てくれますし、声出し応援が解禁されてからは特に、等々力でやっていて負ける気がしません。しっかりと結果に表れていますし、本当に応援してくれる人が心強い味方だとみんな感じています。特にホーム最終戦というのは特別ですし、そこで勝つことで優勝へとつなげられます。それに、ホームではシンプルに負けたくないですよね、優勝争いに関係なく。サポーターという味方の力を借りて戦いたい」
不思議な力を宿し、「等々力劇場」と呼ばれるこの場所で、小林のゴールによって劇的な勝利を何度もぎ取ってきたことか。もちろん、ドラマチックである必要はなく、しっかり勝利を収めればいいが、仮に苦しい展開になっても何かが起こるという期待と予感が漂うスタジアムだ。
それが、逆転優勝へと負けられない緊迫感あふれる試合なら、なおさらである。
「優勝がかかった試合で決めるのは自分だと信じているし、自分自身に期待しているので、とにかく優勝するためにゴールを決められるように最高の準備をしたい」
そんな強い気持ちで大好きなチームを引っ張る。若手も増えてきて、優勝の味を覚えてもらうことで伝統は続いていく。
「特別に何かをしゃべって伝えることはないですけど、緊張感ある練習や、その練習に対する姿勢をどう見せているのかを見てほしい。背中で引っ張る、じゃないけれど、そういう空気感を感じてもらえればいいと思っています」
今季は28試合でゴールは5つと、決して現状に満足しているわけではないが、柏レイソル、北海道コンサドーレ札幌、清水エスパルスから3試合連続ゴールを奪うなど、調子は上向きだ。次の相手は神戸。
「形になってきていますし、もともと強いチームです。でも、自分たちも強いチームだと思っているので、すべての面で上回れればいいと思います」
小林が決めれば、2020年9月に3-2の勝利を収めたホームゲームでの先制PK以来となる。