上写真=鬼木達監督は最後まで「強気」を貫き通す(写真◎J.LEAGUE)
「怖がらずにボールを大事に」
4試合で8失点。川崎フロンターレが守備にあえいでいる。
相手陣内に押し込んでハーフコートゲームを続ける、というのが、このチームの守備のポリシー。「攻撃は最大の防御」の究極である。
ということは、失点が多いのは自陣でプレーを許す時間が増えているから、ということになる。だから、攻撃をもっとブラッシュアップする、というのが鬼木達監督の最優先の考えで、そこに変わりはない。
「攻守の切り替えのところで、カウンターのチャンスがあるのに後ろに下げたりしてピンチになる場面があります。紙一重ですが、そこで前に出すべきなのに後ろに出すと、チャンスになるはずがピンチになってしまうんです。そのちょっとしたところが、これから緊迫していく残りのゲームで重要になってきます」
前節は、残留を争う清水エスパルスがしっかりと守ってカウンターを狙ってきているのは明らかだった。ならばそれを出させなければいい話なのだが、速攻を誘発する原因があると鬼木監督は分析する。
「もっともっと単純に、怖がらずにボールを大事にする、ということが必要ですよね。相手はカウンターを狙ってきていて、それを許したのは結局、逃げたパスを出したときなんです」
不思議なもので、逃げの弱気が混ざったパスは相手に渡る。そこから一気に押し込まれてしまう。
「ただ、1回のエラーで失点することはなかなかありません。エラーが重なることでゴールを許すことになる。ですから、最後のところを締めればなんとかなるとは思っているので、最後に戻る場所はどこなのか、そこはもう1回、指示を出していきたいと思います」
10月12日の京都サンガF.C.戦で引き分け以下に終わると、横浜F・マリノスが勝てば3連覇はそこでついえる。川崎Fは勝つしかない。
「みんな、やるだけだなという雰囲気で、追い詰められていることはありませんね。自分たちの勝利で何かを起こせるのではないかと信じながらやっています」
可能性がある限り、最後まで食らいついていく。「奇跡は信じた人にしか起きない」と鬼木監督はまっすぐに進んでいく。