明治安田生命J1リーグで最も印象深いアシストを表彰する「月間ベストアシスト」。9月は、京都サンガF.C.の川崎颯太の勝負の縦パスを選出した。サッカーマガジンWEBも参加する「DAZN Jリーグ推進委員会」では今シーズンも「月間表彰」を実施、当サイトではベストアシストをピックアップして、その選手へのインタビューでパスの本質を解き明かす。本人も選出は「意外だった」というパスが生まれた背景は?

上写真=川崎颯太が山崎凌吾の移籍後リーグ初ゴールを導いたパスが9月のベストアシスト(写真◎J.LEAGUE)

意識したのは「遠い足」

――川崎颯太選手が9月10日のJ1第29節、鹿島アントラーズ戦で山崎凌吾選手の移籍後リーグ初ゴールを生んだパスが、9月の月間ベストアシストとして決定しました。おめでとうございます!

川崎颯太 ありがとうございます。でも、「あ、これなんだ」とちょっと意外でした。ベストアシストと聞くと、意表を突くようなものすごいスルーパスだったり、ピンポイントで合わせたクロスだったり、そういうものをイメージするので、僕のあの縦パスでいいのかな、と…。

――いや、そのすごさをこれからインタビューで紐解いていければと思います。攻撃の始まりは、麻田将吾選手から右サイドに大きく送って豊川雄太選手が受けて、鹿島の選手たちを押し下げたところでした。川崎選手は相手が下がってできた手前側のスペースにポジションを取っています。

川崎 まずは麻田選手のパスの質と豊川選手が走ったところを見て、豊川選手が収めることができるのはわかっていました。そこで、自分たちの後ろのラインを上げていくことと、僕自身がそのラインに吸収されないようにするために、それよりも前に立つようにしました。あとは、相手の選手が1.5列目のあたりでふらふらしていたのも見えて、そこでこぼれ球を拾われて起点を作られることがないようにリスク管理も考えていました。

――攻撃だけではなくて守備への対応も含めたポジショニングだったわけですね。次に、豊川選手が中を向いて武富孝介選手が内側で引き出したときに、川崎選手はボールを受ける態勢に入りました。そのときに武田将平選手が斜め後ろに下がってもらおうとした動きによって中央にスペースができましたが、それを見つけて川崎選手が入っていきましたね。

川崎 僕たちはリスクをかけて攻めるので、後ろが2対2になることも多いんです。僕がそのリスク管理を担当するんですけど、同時に自分が受けて前に展開するプレーも出していきたい。だから、武田選手が動いたあとにその場所が空いたなと思ったので、少し左横にスライドして受ける態勢に入りました。

――武田選手の動きで相手もつられて動いたので、武富選手から受けたときにはフリーになっていて、しかもゴール前にコースが開きましたね。

川崎 トラップした瞬間には自分で運んでシュートという選択肢もありました。左サイドにも味方がいましたから、そこに出すことも考えましたが、そこに人がいたからこそ山崎選手へのコースが開いた気がして、遠い足につければ反転して決めてくれるだろうと信じて出しました。

――まさに中央の狭いエリアでもしっかりと「遠い足」、つまり相手のマークから離れた左足へと的確に差し込んだ技術の高さが、ベストアシスト選出の大きな決め手になりました。

川崎 利き足とは逆の左足で出しましたが、山崎選手の遠い足にミスなく届けようと意識していました。でもあれは、山崎選手のターンがすごすぎて、僕のパスで決まったというよりは、山崎選手が個人技で持っていった感じですよ。それもあって、「ベストアシスト」って言っていいのかな、って。

――確かに山崎選手は相手の寄せてきたパワーをうまく軸として利用して前にすり抜けて、落ち着いてゴール右に流し込んだ素晴らしいゴールでした。とはいえ、精巧なパスでしたから、出した瞬間は気持ちよかったんじゃないですか。

川崎 顔を上げた瞬間にここだなと思って、気づいたら出していた感じですね。すっとボールも滑って足下にピタッといったので、100点のパスだったと思います。


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