明治安田生命J1リーグで最も印象深いアシストを表彰する「月間ベストアシスト」。9月は、京都サンガF.C.の川崎颯太の勝負の縦パスを選出した。サッカーマガジンWEBも参加する「DAZN Jリーグ推進委員会」では今シーズンも「月間表彰」を実施、当サイトではベストアシストをピックアップして、その選手へのインタビューでパスの本質を解き明かす。本人も選出は「意外だった」というパスが生まれた背景は?

ホールディングセブン

画像: 球際でも恐れずに戦うのが川崎颯太の真骨頂(写真◎J.LEAGUE)

球際でも恐れずに戦うのが川崎颯太の真骨頂(写真◎J.LEAGUE)

――山崎選手の移籍後リーグ初ゴールでしたし、感謝の言葉ももらったのではないですか。

川崎 そのときはどうだったか忘れてしまいましたけど、毎日の練習からどんどんパスを出してくれと言われていますし、遠い足に出せばターンして決めてくれる、というプレーは練習で呼吸を合わせてきたからこそです。信じて出せば決めてくれると思ったし、山崎選手も僕が出すと信じてくれたからこそ準備してくれたと思います。体の使い方もうまくて器用なフォワードなので、なんでもできてすごいと思います。

――チョウ・キジェ監督からはほめられましたか。

川崎 特別に何かを言われたわけではないですけど、いつも前につけるパスの意識づけはされています。横や後ろに逃げるのではなくて、積極的に前にシンプルにつけるパスを要求されてきて、あの場面でもそれが出せたからこその点だったと思います。

――逆に言うと、あのパスがベストアシストに選ばれたのが意外だったと感じた驚きは、日頃から求められている「普通」のプレーを出しただけだ、という感覚だからかもしれませんね。

川崎 そうですね。いつも前へ前へと意識するチームのスタイルを実行して生まれた得点だったと思います。

――川崎選手自身、J1で初めてのシーズンが大詰めです。自分自身の成長はどんな部分で実感しているでしょうか。

川崎 最初は自分の特徴である球際でつぶす強さとかインターセプトする予測の部分は、絶対にできるという自信がありました。実際にその部分も出せて通用すると思っていました。そこから、ボールを受ける意識やポジショニングはどんどん成長できている実感があって、最初はその点では自信がなかったんですけど、リーグが進むにつれてどんどんボールを受けて、怖がらずに前に運んだり、余裕を持ってタメを作ったりすることができるようになってきたと思います。

――いわゆる「顔を出す」プレーの成長については、やはり相手の立ち位置を見ながらプレーできているからなのか、それとも自分の感覚を優先するからか、どちらでしょうか。

川崎 どちらも大事ですけど、僕も感じていてチョウ監督もおっしゃっているのは、味方との距離を意識するというところです。いいポジションを取っていても自分だけチームから離れてリンクできない距離にいては、ボールをもらうのももらってからも大変だと思います。いかに味方を助けられる位置にいるか、もらったあとに味方とつながってパス・アンド・ゴーができるかを考えながらポジションを取っています。

――チョウ監督の言葉からはよく川崎選手への大きな期待がこぼれるのですが、それを常に感じる毎日だと思います。

川崎 「ホールディングセブン」(※)と呼ばれるポジションの僕のプレー一つで、今回のアシストのように得点も生まれますし、逆に僕のところで奪われればカウンターで失点する危険もあります。僕の出来で勝敗が決まるという意味では、チームへの責任、勝負への責任を感じています。だからこそ勝った瞬間にはものすごくうれしいですし、たくさん成長させてもらっていると感じています。

(※中盤の中央に立つアンカーの選手が、センターバック2人と自分以外のフィールドプレーヤー7人を操る役割のこと)

――前に前に、と進むチームスタイルにあって、「ホールディングセブン」である川崎選手自身が前に行くこともあれば、周りを見ながらバランスを取ることも求められると思います。

川崎 僕自身も前に行きたいタイプですけど、麻田選手や上福元(直人)選手が後ろから声をかけてくれて、リスク管理のポジションを指示してくれて意識づけしてもらっています。僕も高校生のときまでは前に出て得点を取るというスタイルでしたし、もちろん、いまでも前に行く気持ちも持ちながら、場合によってはその気持ちを抑えつつ、相手の起点を抑えて2次攻撃、3次攻撃につなげるとか、サイドバックが上がったあとのスペースを埋めるとか、味方を見ながらポジションを取れるようになってきたと思います。


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