上写真=鬼木達監督は広島のカウンターとクロスを警戒(写真◎J.LEAGUE)
「いまの立場はチャレンジャー」
シーズンにはいくつものヤマ場があって、それをクリアしなければ優勝にたどり着けない。川崎フロンターレにとって、目の前にはまた難関。サンフレッチェ広島とのホームゲームだ。
先に28試合を消化している広島は勝ち点50の2位。川崎Fは消化が2試合少なく、26試合で勝ち点49。同じ26試合ながら勝ち点52として首位に返り咲いた横浜F・マリノスへの挑戦権をどちらが手にするか、の構図だ。
「自分たちは昨年のチャンピオンかもしれませんが」と鬼木達監督。「いまの立場はチャレンジャーです。その姿勢を見せなければいけません。自分たちに目を向けて戦いたいと思っています」
日頃から「目の前の試合に集中する」「自分たちにフォーカスする」と言い続けてきて、その真価が問われるビッグゲームになるだろう。
広島は8月に入ってから公式戦8連勝中と、超がつくほど絶好調。ルヴァンカップと天皇杯でも準決勝に勝ち進んでいて、3冠を狙える位置にいる。そんな広島を、鬼木監督はこんなふうに表現する。
「カウンターとクロスからのゴールは、より自信を持って取り組んでいる印象があります。意識はしなければいけないと思っています」
直近の天皇杯準々決勝でも、セレッソ大阪に対してアディショナルタイムに森嶋司の右からのクロスに川村拓夢が中央でヘッドで合わせて、劇的な決勝ゴールを挙げている。
ただし、その残像に引っ張られるデメリットもある。
「でも、意識しすぎると後ろが重たくなってしまいますし、対策によって簡単に勢いを止められるとも思っていません。だから、自分たちの強みをどれだけ出せるかが本当の意味での対策になります」
自分たちの強みとは、集約すれば「アグレッシブさを攻守において90分、出し続けること。最後まで勢いのある相手なので、覚悟を決めないと難しい」ということになる。
その強みを出す「勝負の場所」はどこか。
「ストロングがあれば、その裏もあるのがサッカーの常です。そこのところは意識して、3バックが彼らのストロングだという認識も持ちながら、そこに負けないプレーの要求はしていきたい」
広島の3バックは守れば強固で、攻めればパスの出し手になってテンポを生み出す。強みに強みをぶつけて上回る。それが本当の広島対策だ。