8月19日のAFCチャンピオンズリーグラウンド16で、浦和レッズはマレーシアのジョホール・ダルル・タクジム(JDT)から5ゴールを奪って大勝した。これで公式戦3試合で14ゴール、失点もゼロに抑えて絶好調だ。キャスパー・ユンカーはその要因を「準備」だと胸を張る。

上写真=モーベルグのゴールを祝福する仲間たち。3試合連続ゴールラッシュで勢いが止まらない(写真◎AFC)

■2022年8月19日 ACLラウンド16(埼玉/20,691人)
JDT(マレーシア)0-5 浦和(日本)
得点者:(浦)アレクサンダー・ショルツ、ダヴィド・モーベルグ2、キャスパー・ユンカー2

私からもチームにおめでとうと言いたい

「みんなで取ったゴールばかりでした」と西川周作がうなずけば、伊藤敦樹も「やっといい状態に来ています。試合を重ねるごとに呼吸が合ってきた」と好調の実感を口にする。

 浦和レッズがJDT戦で演じたゴールラッシュは、「連係ラッシュ」でもある。

 19分の2点目はダヴィド・モーベルグがFKを直接沈めた鮮やかなキックが印象的だが、このFKを奪ったのが右からのコンビネーションだ。相手のロングキックを岩波拓也がヘッドで右の酒井宏樹につないだところからスタート。酒井が持ち上がり、ハーフウェーラインを越えてから内側のスペースに入った伊藤へ、そこからすかさず中央の小泉佳穂へと渡り、逆サイドから中央に割って入った大久保智明の足下に滑り込ませたところで、大久保が進路を妨害されて倒されて得たものだった。

 39分の3点目はGK西川周作から。バックパスを受けたあとに一気に右ワイドにいたモーベルグへと飛ばした。カットインから裏への縦パスは一度引っ掛けられるが、モーベルグ自身が即時奪回、大久保がサポートしてから右の松尾佑介に渡し、ニアへのクロスが一度はじかれたものの、再びボールがこぼれてきて、今度は遠いサイドのスペースへと届けた。小泉が入ってきてワンタッチで戻すと、モーベルグが左足を振った。

 84分の4点目は左サイドから一度最終ラインを経由して右に展開、自陣に戻ってきたモーベルグが受けると相手も寄せてきて、入れ替わるように江坂任が右裏のスペースへ走り出した。見逃さなかったモーベルグがワントラップからミドルパスを送り込むと、キャスパー・ユンカーもスタート、江坂はワンタッチで優しく中に送ってユンカーが確実に蹴り込んだ。

 そして90+1分の5点目も。西川が強烈な高速パントキックを低く蹴り込んで左の江坂へ。タッチライン際の関根貴大に預けておいて、その足で左裏へと駆け出した。関根は江坂のランニングコースの先に滑り込ませると、またもユンカーが中央へと走り抜け、江坂が4点目と同じようにていねいにラストパス、ユンカーがダメ押しゴールを奪った。

 共通するのは、ボールがあるところから二手先、三手先のランニングだろうか。2点目は大久保が、3点目は小泉が、4点目と5点目は江坂とユンカーが、ボールから「遠い場所」へと迷いなく走り出し、そこにきちんと届く好循環だ。

「連動性には実感がありますし、その中から結果につながる試合が続いているので、手応えを感じています」とは伊藤。2得点のモーベルグもチーム3点目となる自身2点目を「いい形で攻撃を終わらせたかった」と笑顔で振り返った。そして、同じく2得点を挙げたユンカーが表現したのは、コンビネーションが光るゴールの数々に共通する「準備」というキーワード。

「ゴールが一番重要だと思っていて、そのための準備をしていました」

「私のゴールは簡単でシンプルに見えたかもしれないけれど、ストライカーとしてはそのポジションにいることが大事です。常にいい形の準備、つまりポジショニングが大事だと思います」

 そのときどこにいるか、が準備の肝。ユンカーの2得点はもちろん、ほかのゴールでも「そのとき、そこにいること」の連続で生まれたものばかりだった。

 JリーグYBCルヴァンカップ準々決勝第2戦で名古屋グランパスに3-0、明治安田生命J1リーグ第25節でジュビロ磐田に6-0だから、公式戦3試合で14ゴール。「勢いがそのまま得点数に表れています。私からもチームにおめでとうと言いたいです」とユンカーも充実感を隠さない。

 もちろん、リカルド・ロドリゲス監督が言うように「まだ何も成し遂げていない」けれど、流麗なコンビネーションがもたらすファインゴールの数々は、何かを成し遂げるのに十分なポテンシャルを証明している。

 ACLは準々決勝が8月22日、準決勝が25日。勝てば、東地区の代表として、来年2月に西地区の代表と激突する決勝に進むことができる。

取材◎平澤大輔 写真◎AFC


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