上写真=瀬古樹はPSG戦で後半から登場し、早々に強烈なシュートを見舞っている(写真◎福地和男)
フロンターレに近い
7月20日にPSGと戦った川崎フロンターレは、1-2で敗れたものの、その体感が貴重な財産になった。多くの選手がそれをどう生かすかに意識を向けていて、瀬古樹もその一人。
後半から登場して右のインサイドハーフに入り、途中からボランチにも回ったが、ピッチに入って54分には強烈な右足シュートを見舞った。84分には左CKを蹴って、相手に当たって戻ってきたボールを再び中央へ送り、山村和也の頭に合わせて一矢報いるゴールをアシストした。
そんな結果を残した45分から、何をこれからにつなげていくか。それを自分に問う。
「トレーニングでは、まずはチームとして違いを感じたよねという話があって、ではそれは何だったのか。最後の極限まで見るところはほかのチームにはないと思います。それは日本ではフロンターレに近いと思っていて、その極限がああいうプレーになって出ているので、意識していきたいですね」
最後の最後、本当にぎりぎりのぎりぎりまで相手を見て味方を見て、最後の瞬間に最適な判断を下す。それが「極限」という言葉の意味だ。川崎Fもその点においては、Jリーグではトップクラス。しかし、「ぎりぎり」の基準がもっともっと高かった。
そんな体感を思う存分にぶつける戦いが、すぐにやってくる。7月30日には浦和レッズとのアウェーゲームが待っている。そのあと、セレッソ大阪とのJリーグYBCルヴァンカップ準々決勝がホームアンドアウェーで行われ、その間には首位の横浜F・マリノスとの決戦が入ってくる。次の京都サンガF.C.戦まで5連戦だ。そのあとも試合は続き、8月はなんと7試合と過酷。
「3連覇という目標とルヴァンカップのタイトルもかかる大事な8月です。ここからの連戦は総力戦になります。いつ何が起こるかわからないから、いつでもできる準備をしています。結果を持ってくるのも自分たち次第だから、PSG戦で感じたことを大事な浦和戦や8月の試合に生かしていきたい」
折しも、7月28日にはトップチーム関係者5人が新型コロナウイルス感染症の陽性判定を受け、さらに1人が濃厚接触疑い者となっていずれも隔離されていると発表された。プレーできる選手が全力で戦い抜くハードな連戦になりそうだが、苦境はタイトルを手にした一昨年も昨年もあった。それを乗り越えてこそチャンピオン。
「優勝するには一つも落とせない大事な試合が続きます」
今季移籍してきた瀬古が、存在感を示すときがやってきた。