上写真=松尾佑介は45分のプレーで両チーム合わせて最多の4本のシュートを放った(写真◎J.LEAGUE)
■2022年7月23日 PSGジャパンツアー2022 第2戦(@埼玉/61,175人)
パリ・サンジェルマン 3-0 浦和
得点者:(パ)サラビア、エンバペ、カリムエンド
「入る気がしないのは初めてのこと」
浦和レッズの松尾佑介は、相手がPSGだからといって、特別な気負いはなかった。「いつもどおりにゴールを目指して」ピッチに立った。その自慢のスピードでJ1で何度も相手の最終ラインをブレイクしている。同じように、パリ・サンジェルマンの3バックをも置き去りにした。
「どれぐらいできるかと思いました。局面では意外とできるところもあると感じましたし、あれに僕自身が慣れていけば面白いなと思いました」
しかし、何かが違う。
いきなり3分に抜け出すが、背後から迫るDFにプレッシャーを掛けられて少し足が絡まり、そこへGKが出てきてシュートはしっかりとインパクトできなかった。
「スピードの質の違いは、向こうは『重い』ですね。最後のところで速いだけではなくて重みでバランスを崩されて持たせてくれない、シュート打たせてくれないという感じで」
ほかにもチャンスは多かった。32分にはダヴィド・モーベルグが右サイドで縦に突破してセンタリング、DFのクリアが短くなったところで左足を振ったものの、DFのブロックに遭う。44分にも関根貴大の絶妙のスルーパスで左に抜け出したが、中から外に追いやられるようにマークされて、角度のないところからの左足シュートはGKの正面を突いた。
「最後のところでシュートを打たされている感じがしましたし、ギリギリの駆け引きが違うなと。そこまで行けていることには手応えがありながら、最後のところで入る気がしないのは初めてのことなので、率直に悔しいけど楽しいという意味のわからない感覚です」
プレーしながら、不思議な感覚にとらわれていた。「個人個人の能力が高いので、最後の局面では個人で守ってくる」と実感しながら、45分のプレーで両チーム合わせて最多の4本のシュートを放ち、可能性のしっぽをつかんだ感触もある。
「ああいう相手と実際にやらないとわからないですし、僕の何が通用するかはわからないけど、高いレベルでプレーして慣れていくのは、僕自身にとってとても大事な過程だと思います」
PSGというフィルターを通して得た「意味のわからない感覚」には、どんな意味が隠されているのか。「本当に悔しいし、近づけるようになりたい。試合をやってみた感覚と外から見た感覚を合わせて、より良い選手になっていければと思います」という未来を実現して初めて、答えがわかるものなのかもしれない。
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE