明治安田生命J1リーグの第21節が10日に行われ、埼玉スタジアムでは浦和レッズとFC東京が対戦した。ホームの浦和の攻撃力が爆発。前半に1点、後半2点をスコアし、3発快勝し、リーグ再開後、5戦無敗を達成した。

上写真=モーベルグの先制点をアシストした浦和の松尾(写真◎J.LEAGUE)

■2022年7月10日 明治安田生命J1リーグ第21節(@埼玉スタ/観衆26,293人)
浦和 3-0 FC東京
得点者:(浦)ダヴィド・モーベルグ、伊藤敦樹、大久保智明

理想的な試合運びを見せた浦和

 ボールを握る浦和は序盤から敵陣に進入し、ゴールへのルートを探っていった。酒井、松尾、大久保とチャンスをつかみ、シュートへとつなぐ。ネットこそ揺らせなかったが、相手のプレスを回避すべく素早くボールを動かし、攻撃の形をつくっていった。

 ただ、その『動かし』がままならないと、FC東京のチャンスになる。8分のシーンが象徴的だ。ビルドアップの局面で岩尾がD・オリヴェイラに食いつかれ、ボールをロスト。辛くもシュートを免れたものの、FC東京が前向きの守備からショートカウンターを狙い、その形を実践してみせた。

 その後、つなぐ浦和、敵陣で奪いにかかるFC東京という構図がしばらく続いた。だが、先制点は互いの狙いを交換したかのようなプレーから生まれた。31分、浦和がFC東京の陣内でボールを奪って、ショートカウンターを完遂したのだ。

 最終ラインでボールを回すFC東京の右CBの木本が浦和のFW松尾のプレスを回避しつつ、縦パスをMFの梶浦に当てた。そのリターンを受けるべく右に動いた木本に対し、梶浦からのバックパスがズレてしまう。これを松尾が逃さずに奪い取り、そのままドリブルで前進。木本のスライディングをかわして、ボックス左から進入し、最後は右サイドからゴール前に入り込んでフリーになっていたモーベルグが蹴り込んだ。

 FC東京にとってはやりたかったことを浦和にやられた格好だろう。何とも悔しい失点になった。そして浦和にとっては主導権を握りながら攻めきれないシーンが続いた後で手にした、待望の先制ゴールになった。

 1-0で折り返した後半、先に動いたのは追う立場となったFC東京だ。梶浦に代えて紺野を投入。前半は4-4-2でプレーしていたが、まず中盤に手を加え、東をアンカーに配し、右インサイドハーフに渡邊、左に松木を置く逆三角形に変更。3トップも右から紺野、D・オリヴェイラ、レアンドロとした。ただし、先にネットを動かしたのは後半も浦和だった。50分、敵陣右サイドで攻撃が詰まったが、ボールをしっかりつないで中央へと展開し、伊藤が左足を一閃。名手スウォビィクの伸ばした手をかすめるように、シュートはゴール右下に突き刺さった。

 2-0とした浦和は、攻撃的な姿勢を保ちつつ、守備でも要所を締めて時計の針を進めていった。対するFC東京はD・オリヴェイラが負傷退場するアクシデントがあったものの、積極性を出して2点を追いかけた。

 しかしながら、次の1点も勢いに乗る浦和が手にすることになる。70分、自陣左サイドのスローインからだった。馬渡が投げ入れたボールを江坂が逆サイドに大きく展開。モーベルグがキープしつつ、ボックス内に進入すると、その背後をサイドチェンジのボールを出した江坂が追い越してパスを引き出し、クロスを供給してみせる。ゴール前に待っていたのは、大久保。実に見事な連係で浦和がダメ押しとなる3点目を記録した。

 その後も攻め手を緩めない浦和は何度もFC東京ゴールに迫った。4点目は生まれなかったものの、流れを渡すことなく試合は3ー0で終了。ともにポジショナルプレーを実践するチームだが、攻撃の局面では、つなぐ意識とつなぎ方、そして切り換えの早さで浦和が勝り、守備の局面でもプレスの連動や強度に関して、ホームチームに分があった。チームを作り始めて2年目を迎えたリカルド・ロドリゲス監督の浦和と、就任1年目のアルベル監督が率いるFC東京では完成度に違いがあって当然ながら、選手層も含めてこの日はその差がピッチに、はっきり表れることになった。

 これで浦和はリーグ再開後の5試合を3勝2分けとし、無敗を継続。内容もポジティブな要素が増えており、特にこの日は攻撃力が爆発した。対するFC東京は1勝1分け3敗と成績が振るわない。前節の札幌戦は無失点勝利を飾ったものの、浦和戦を含め複数失点が続いている。とりわけ守備の整備は急務だろう。

◆出場記録
・浦和メンバー:GK西川周作、DF酒井宏樹、岩波拓也(76分:知念哲矢)、アレクサンダー・ショルツ、大畑歩夢(66分:馬渡和彰)、MFダヴィド・モーベルグ、岩尾憲、伊藤敦樹、大久保智明(85分:関根貴大)、FW小泉佳穂(66分:江坂任)、松尾佑介(66分:明本考浩)

・FC東京メンバー:GKヤクブ・スウォビィク、DF長友佑都(66分:鈴木準弥)、木本恭生、森重真人、バングーナガンデ佳史扶(85分:岡崎慎)、MF梶浦勇輝(46分:紺野和也)、東慶悟(66分:品田愛斗)、松木玖生、FW渡邊凌磨、ディエゴ・オリヴェイラ(56分:山下敬大)、レアンドロ


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