明治安田生命J1リーグにおいて最も印象深いアシストを表彰する「月間ベストアシスト」。5月の受賞者は、横浜F・マリノスのFW宮市亮に決まった。サッカーマガジンWEBも参加する「DAZN Jリーグ推進委員会」では今シーズンも「月間表彰」を実施しており、当サイトではベストアシストを選出、その選手へのインタビューで秘密を聞いた。アンデルソン・ロペスに送った高速クロスは、アーセナル時代にティエリ・アンリに仕込まれた技だった!

アーセナルと横浜FMの共通点

画像: 宮市亮は横浜FMでの日々を思い切り楽しんでいると充実の笑顔だ(写真提供◎Y.F.M.)

宮市亮は横浜FMでの日々を思い切り楽しんでいると充実の笑顔だ(写真提供◎Y.F.M.)

――この試合は前半のうちに3点を奪い、後半には残念ながらキャスパー・ユンカーにハットトリックを許して3-3のドローに終わるのですが、宮市選手は12分の先制点にも絡んでいます。左サイドいっぱいで待っていたところにサイドチェンジのパスが飛んできて、ヘッドでそのまま縦のスペースに送り、小池龍太選手の突破からのセンタリングを促しました。これが逆サイドまで流れて、水沼宏太選手が押し込みました。

宮市 ワイドでのプレーはやっていて本当に楽しいですし、まだまだサッカーがうまくなれるな、という環境でプレーさせてもらっているので、本当に充実しています。

――そして、アシストのあとにはついに日本での初ゴールも決めています。30分、ペナルティーエリア左から、正対したDFアレクサンダー・ショルツ選手の右を抜き、GK西川周作選手の手の先を抜けてゴール右に送り込みました。まさに、針の穴を通すとはこのことですね。

宮市 うまく入ってくれましたけど、いろいろな選択肢があった中でのシュートでした。あの角度は自信を持っていて、日頃のシュート練習でもよく決めている場面だったので良かったです。

――DAZNで解説されていた佐藤寿人さんが「多くの日本のサッカーファンの方々が喜べるゴール」とおっしゃっていました。まさにたくさんの祝福の声が届いたのでは?

宮市 本当にいろいろな方に喜んでもらえましたし、自分にとってJリーグで初だったので、特別なゴールになりました。それに、寿人さん、そんなことをおっしゃってくださったんですね。うれしいです。ぜひよろしくお伝えください(笑)。

――とても充実した表情ですが、昨年の移籍会見で「いまの自分が好きです」とおっしゃっていたのがものすごく印象的でした。いま、「好き」の度合いが増しているように見えます。

宮市 少しはケガもありますが、それでも大きなものではなく、横浜F・マリノスというビッグクラブで毎日トレーニングしながら、どんどんサッカーがうまくなっていると感じています。試合に出ているときもそうでないときも、楽しんでサッカーができていますから、引き続き幸せにやっていますよ。

――それが何よりですよね。しかも、第16節が終わった時点でチームは首位に立っています。その一員として、いまの横浜FMの強さをどう見ていますか。

宮市 まずは、サッカーの土台がしっかりしているところですね。ピッチ外でも選手の仲が良いというか、出ている選手も出ていない選手も全員がチームのためにハードワークしますし、スタッフも社員の方も含めて、F・マリノスのために頑張ってくれています。それは選手もわかっているので、「マリノスのために」と全員が意識して同じ方向を見ていることが強さの一つです。

――本当の意味で一体感を作り出すことは難しいですものね。

宮市 ヨーロッパでは特に監督が代わりやすいですからね。監督が代わればスタイルも変わって、チームの土台というか軸がなくなる、というのがありがちです。でもF・マリノスは、(アンジェ・)ポステコグルーさんが築き上げた攻撃サッカーを(ケヴィン・)マスカット監督が引き継いでいますし、F・マリノスというクラブとして攻撃的に戦うことが基盤になっていて、そういうチームはいままではなかなかなかったんです。アーセナルは(アーセン・)ベンゲルが築き上げてきたスタイルがあって、だから強いと感じているので、いま似たものを感じています。

――そんないまのチームには、宮市選手と高め合うハイレベルなウイングの選手がたくさんいます。彼らから学ぶのはどんなことでしょう。

宮市 とてもたくさんありますよ。例えば、水沼選手のクロス。蹴るたびにあれだけゴールの予感をさせてくれる選手は、海外でのプレーを通してもいなかったです。クロスの蹴り方をよく聞いています。

 テル(仲川輝人)に関しても、右利きですけど右からカットインして左足で放つシュートが代名詞で、トレーニング中からすごいと思って見ていますし、盗めるところは盗みたいと思っています。

 エウベルのドリブルも、ヌルヌル進んでいくというか、ボールに絡んでいく感じはレベルも高いですし、ほかにもみんな個性があって、そういうことも楽しんでプレーできている理由の一つです。

――逆に教えてほしいと言われることもあるのではないですか。

宮市 いえ、ないんですね。自分が聞きに行くばかりで(笑)。

――今回は6月1日の天皇杯2回戦、鈴鹿ポイントゲッターズ戦で負傷して大変なときにありがとうございました。左ハムストリングの肉離れで全治4週間ということですが、早く治してまた活躍を期待しています。

宮市 こちらこそありがとうございました。ケガは全然大丈夫ですよ。またがんばります!

取材・構成◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE/Y.F.M.

※本文中の数字はすべて6月15日時点

宮市 亮(みやいち・りょう)◎1992年12月14日生まれ、愛知県出身。中京大学附属中京高等学校を卒業して、イングランドの名門、アーセナルでプロのキャリアをスタートさせた。フェイエノールト(オランダ)-ボルトン・ワンダラーズ(イングランド)-ウィガン・アスレチック(同)-トゥウェンテ(オランダ)-ザンクトパウリ(ドイツ)で10シーズンを過ごし、2021年夏に日本で初めてのクラブ、横浜F・マリノスに加入した。スピードあふれる突破と爽やかな笑顔が魅力的。183cm、78kg


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