攻撃自慢の川崎フロンターレが、4年ぶりの連敗を喫し、しかも3試合連続ノーゴールは実に10年ぶり。そんないまだからこそ、鬼木達監督が「自分の仕事」と掲げることがある。それが、チャンスを数多く作ることだ。

上写真=鬼木達監督は連敗したものの、京都戦でチャンスを多く作ったことは評価している(写真◎J.LEAGUE)

「前線の選手に余裕をもっと持たせてあげたい」

 0-0 → 0-4 → 0-1。川崎フロンターレが10年ぶりの3試合ノーゴール。4年ぶりの連敗。サガン鳥栖、湘南ベルマーレ、京都サンガF.C.という3試合で苦しんでいる。攻撃自慢のチームに、一体何が起こっているのか。

 ただ、スコアではなく内容を注視していくと、暗い見通しばかりではない。京都戦では数多くのチャンスを作ってゴールに迫るこれまでの姿を見せることができた。鬼木達監督はネガティブな姿勢をつゆほども見せない。

「前へのチャレンジが少なかった選手が、そういう姿勢を生み出したり、動きのところでも走り方があって、外なのか中なのかというところでこちらで要求したことを選手たちは積極的にやろうとしてくれました」

 順位は3位に下がったものの、首位に立った横浜F・マリノスとは1ポイント差だから、「10年ぶり」「4年ぶり」に惑わされるような悲壮感はない。

 ただ、気になるのはレアンドロ・ダミアンだ。京都戦でも絶好機に決めきれておらず、今季は16試合でわずか3ゴール。同じ16試合の時点で比較すると、2019年は7ゴール、昨季は10ゴールを挙げていて、明らかに少ない。昨季MVPは苦しんでいるのか。鬼木監督の目にはどう映るのか。

「まず彼だけのところで言うと、こちらが求めている、体を張ったり前からプレスに行くことは、前半戦では欠けていたところもあったとは思います。でもいまは、しっかりやり始めてくれています。ポストプレーにおいても、少し軽いプレーになったこともありましたが、徐々に体を張って相手が嫌がるような形になってきています。いまはチームにいい力を与えてくれています」

 エースが上向きになれば、チームも同じように上昇曲線を描くはずだ。それに、チーム全体の課題も影響を与えている。

「ダミアンに限らず、低い位置でパワーを使うことが多くなっています。知念(慶)も(小林)悠も含めて、点を取るところでパワーを使えるようにしなければならなくて、それが自分の仕事だと思っています」

 選手たちの能力の高さは連覇で証明済みだし、その組み合わせによってバリエーションを加える作業も功を奏してきた。

「チームとして数多くチャンスを与えたり、前線にどんどんボールを入れ込んでいかなければ、やはりフォワード陣の得点は伸びてこないと思います。京都戦もチャンスはありながらも仕留めきれませんでしたが、改めてチャンスの数を増やすことで、前線の選手がプレッシャーから解放されるというか、もちろん少ないチャンスでも決めてほしいですが、チャンスの数を増やすことによって前線の選手に余裕をもっと持たせてあげたいと思っています」

 その兆しは京都戦で見せ始めている。6月1日の天皇杯を終えてからの中断期間で、鬼木監督の言う「自分の仕事」を推し進めていくつもりだ。


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