ジョアン・シミッチのパスが、川崎フロンターレにバリエーションを与えている。今季は4試合で先発出場していて、徐々にチームの戦いに左足のキックがなじんでいる実感があるという。広いスペースにボールを届けていくパスへのこだわりを、日々のトレーニングで磨いている。

上写真=ジョアン・シミッチは左足のパスでリズムの変化を与える(写真◎J.LEAGUE)

「いいパスが出せれば、味方にいいゴールが」

 柏レイソル、蔚山現代(韓国)、ジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)、サガン鳥栖。ジョアン・シミッチが今季、先発した試合の相手は、いずれもフィジカル的にタフなチームばかりだ。ローテーションのタイミングにもよるものの、中盤の前でアンカーとして、あるいは2枚並べるボランチの一角として、守備に強みを発揮する。

 球際の強さで中盤を引き締める一方で、魅力的なのは中長距離のパスだ。自慢の左足を振って遠くのスペースへと送り込み、テンポを変えて相手を惑わせる。

「リズムの変化はゲームの中で必要になってきますから、自分の特徴を生かそうと思いながらプレーしています」

「ロングパスもショートパスもスルーパスも自分の特徴だとわかっているので、日々の練習でパスの質を上げることを意識しています。いいパスが出せれば、味方にいいゴールが生まれますからね」

 一方で、変化してはいけないこともある。

「チームとしてのリズムやスタイルを、自分のところで落としたりしてはいけないということも、もちろん考えながらやっています。フロンターレのスタイルはポゼッションしてボールを動かし、守備は高い位置からハイプレスをかけていくという根本的なやり方は絶対に忘れてはいけません。だから、変な意味での変化はつけてはいけない」

 変えてはいけないスタイルの中に、自分の特徴を組み込んでいくイメージだ。それが、他の選手がプレーするときとの「違い」になる。J1ではフル出場が2試合、途中出場が5試合だが、そのパスがチームになじんできた実感がある。

「みんなが一人ずつ特徴を生かしながらサッカーは進んでいきます。自分の特徴であるロングパスが最近はチームの中で溶け込んで、いい展開になっていると感じています。自分もこのロングパスが武器だと思っているので、武器を生かすように日々のトレーニングの中で意識しています」

 左足から繰り出す中長距離のパスが、小刻みなリズムに加える大胆さ。それが残りのシーズンでさらに威力を増すことになりそうだ。


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