5月28日の明治安田生命J1リーグ第16節で、サンフレッチェ広島と名古屋グランパスが対戦。名古屋GKランゲラックが負傷交代するアクシデントで始まった一戦は、後半に野津田の直接FKで先制した広島が完封勝利を収め、名古屋の連勝を3で止めた。

上写真=コロナ禍の苦境を乗り越えて完封勝利。キャプテンの佐々木が会心の雄叫び!(写真◎J.LEAGUE)

■2022年5月28日 J1リーグ第16節(@Eスタ:観衆9,937人)
広島 1-0 名古屋
得点者=(広)野津田岳人

・広島メンバー◎GK大迫敬介、DF塩谷司、荒木隼人、佐々木翔、MF藤井智也、野津田岳人(90+3分:野上結貴)、柏好文(80分:青山敏弘)、満田誠(90+3分:長沼洋一)、柴﨑晃誠(68分:東俊希)、FWナッシム・ベン・カリファ、ジュニオール・サントス(80分:永井龍)
 ※実際のポジションで表記

・名古屋メンバー◎GKランゲラック(9分:武田洋平)、DF丸山祐市、藤井陽也、中谷進之介、MF相馬勇紀、森下龍矢(62分:酒井宣福)、稲垣祥、レオ・シルバ(81分:阿部浩之)、仙頭啓矢(62分:内田宅哉)、FWマテウス・カストロ、柿谷曜一朗(HT:石田凌太郎)

ランゲラック負傷交代のアクシデント

 この日の広島地方は午前中から気温が上がり、薄曇りながらも公式記録の気温は25・7度、湿度40パーセントという蒸し暑い一日に。広島は複数のスタッフ・選手が新型コロナウイルス感染症の陽性診断を受けた影響で5月25日の前節・ガンバ大阪戦が中止となっており、2試合ぶりのリーグ戦となった。

 立ち上がりの5分、広島は自陣右サイドからのFKをMF野津田が左足で中央に送ると、ヘッドで合わせようとしたDF佐々木が触れず、ボールはそのままゴールへと向かう。名古屋GKランゲラックがファンブルしたこぼれ球をMF柏がヘッドで狙ったが、名古屋FW柿谷がゴールラインを割る寸前でクリアして難を逃れた。

 しかし、このプレー直後にピッチに倒れ込んだランゲラックが、足を引きずって武田と途中交代。長谷川健太監督は試合後の会見で「筋肉系のトラブル」と説明したが、2019年の第26節以降、今季の前節まで96試合連続フルタイム出場を続けていた絶対守護神がピッチを去る、名古屋にとっては大きなアクシデントとなった。

 再開後は両チームがゴールに迫る場面が増えたものの、次の決定機も広島だった。22分、自陣で相手のミスパスをカットしたMF藤井がドリブルで運び、右足でシュート性のクロス。FWベン・カリファが反応して左足で合わせたが右ポストに当たり、こぼれ球をヘッドで狙うもGK武田に防がれた。

 その後も球際で激しく競り合う攻防が続き、お互いにボール奪取からチャンスを作ろうと試みる。だが両守備陣が立ちはだかって決定機は作らせず、0-0で前半を終えた。

 後半も双方の厳しいコンタクトプレーが続いたが、広島がセットプレーのチャンスを生かして均衡を破る。58分、ゴール前右寄りで得たFKを野津田が左足で直接狙うと、ボールは人壁の上を越えて鋭く落ち、鮮やかにネットを揺らした。2016年途中から複数のクラブに期限付き移籍し、復帰して広島でプレーした19年と20年は公式戦無得点だった野津田は、15年以来、実に7年ぶりとなる広島での得点となった。

 勢いに乗る広島は強度の高いプレッシングで主導権を握り、良い形でゴールに迫るシーンもあったが、名古屋も踏ん張ってはね返す。広島の前に出る力が弱まった終盤はロングボールを多用して押し込み、FWマテウスのミドルシュートやセットプレーでゴールに迫ったものの、広島も体を張って防ぎ、1点を守り切って勝利をつかんだ。

 広島は前節の中止の影響で26日の全体練習が実施できないなど苦しい状況で、調子を上げてきた相手を下す貴重な勝利。ミヒャエル・スキッベ監督は試合後の会見で「新型コロナウイルスの影響で非常に苦しい状況になったが、選手・スタッフみんなが頑張った。特に後半のパフォーマンスは非常に満足している」と喜んでいた。

現地取材◎石倉利英 写真◎J.LEAGUE


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