上写真=先制ゴールをスコアしたエウベル(写真◎J.LEAGUE)
■2022年5月7日 明治安田生命J1リーグ第12節(@日産スタ/観衆22,178人)
横浜FM 2-1 名古屋
得点者:(横)エウベル、アンデルソン・ロぺス
(名)中谷進之介
VARによるゴール取り消しで流れが変わる
前半、ボールを支配したのは横浜FMだ。パスとドリブルで前進しつつ、ゴールをうかがった。15分を過ぎてからは回収→速攻→フィニッシュワークの循環を成立させて試合を進めていく。しかし、先制点を奪ったのは名古屋だった。24分の右CKの場面。マテウス・カストロが蹴ったインスイングのボールを、ニアサイドで中谷が頭で触ってゴールイン。押されていたアウェーチームがリードを奪った。
攻め込みながらも先制された横浜FMだが、失点後もボールは握り続けた。縦横のパスで相手を動かしながら、テンポを変えて守備の穴を作り出す。すると35分に喜田の鋭い縦パスからゴールを生み出してみせる。テンポアップを狙った縦パスを、名古屋のCBの丸山がクリアしようと試みるが、ボールはライン裏に流れた。そこに誰より早く反応したエウベルが頭から飛び込み、同点に追いついた。
1-1で迎えた後半、最初のチャンスは名古屋に訪れた。47分、敵陣で森下がボールを奪い、右サイドに開いたマテウスに展開。ラインの裏に上げたクロスは、飛び込んだ酒井を通り抜け、右ポストの内側を直撃。GK高丘が触れなければ、そのままネットを揺らしていただろう。
このプレー後も、名古屋は連続してチャンスをつかんだ。ボックス右からマテウスが放った直接FKは高丘にはじき出されるも、直後のCKで先制点と同様の形が再現される。ニアで藤井がすらしてゴールを記録した。しかし、このゴールはVAR(オンフィールドレビュー)を経て、オフサイドの判定。得点は取り消されることになった。
再びリードされる状況を免れた横浜FMはここから攻め気を強めていった。後半から投入された仲川やA・ロペスが積極的に仕掛けて、名古屋守備陣を後退させ、ゴールへと迫った。ただ名古屋も最終局面ではしっかり体を寄せて十分な体勢ではシュートを打たせない。60分過ぎからは1点目をめぐる、ますます激しい攻防が繰り広げられた。
73分、L・セアラに代えて水沼、M・ジュニオールに代えて西村を投入。ホームチームが2枚替えを敢行し、ゲームを動かしにかかった。対する名古屋もその2分後に2枚替え。吉田に代えて相馬、イエローカードをもらっていたCB藤井に代えてチアゴ。こちらはサイドからの攻めと守りのリスクを考えた交代だったのだろう。
試合時間が残り5分を切り、引き分け決着が頭をよぎり始めたところで、勝敗を分けるゴールが生まれた。きっかけを作ったのは途中交代の選手だ。後方からのフィードを左サイドで仲川が収め、中央へドリブル。フォローで上げってきた藤田に預けると、ボックス左角付近の西村に展開。パスアンドゴーでフォローに来た藤田とパス交換したあと、西村が右足で強烈なシュート。一度はGKランゲラックに弾かれたが、詰めていたA・ロペスが押し込み、勝ち越しに成功した。
試合後、名古屋の長谷川健太監督は取り消しとなったゴールについて「レフェリーがああいう判断をしたので致し方がない。ただ『オフサイドにします』という言い方はどうなのかなと。『オフサイドです』なら分かるのですが、『します』というのは主観というか、判断だとは思います。相手の選手が何もアピールしてない中で、VARでひっくり返された。相手がそういう行動をとっていない中で、レフェリーの判断でというところで悔しい部分はあります」と言及。それと同時に「ただし、自分たちが2点目を取れなかったのは間違いない事実なので、2点目をどうやってとるのか。12節を終わってFW登録の選手が1点も取っていないというのは、これはチームにとって非常に苦しい。こういう状況になっても仕方がないですし、ぜひ、FWの選手には奮起を期待したい」と、自チームの課題についても触れ、今後に向けてFWの得点に期待した。
ACL出場のため、4月10日以来となるJ1リーグに臨んだ横浜FMは、見事な逆転劇で勝利を飾った。今季、ホームで負けなしの強さを改めて示してみせた。一方で名古屋はまたもアウェー未勝利に終止符を打つことができず、敗戦。ACLで決勝トーナメントに進出したチームと、リーグ戦で前節まで5戦未勝利と苦しむチームの差が表れる一戦になった。
◆出場記録
・横浜FMメンバー:GK高丘陽平、DF小池龍太、畠中槙之輔、エドゥアルド、永戸勝也(85分:角田涼太朗)、MF岩田智輝(30分:藤田譲瑠チマ)、喜田拓也、マルコス・ジュニオール(73分:西村拓真)、FWアンデルソン・ロペス、レオ・セアラ(73分:水沼宏太)、エウベル(46分:仲川輝人)
・名古屋メンバー:GKランゲラック、DF中谷進之介、藤井陽也(75分:チアゴ)、丸山祐市、MF森下龍矢(88分:内田宅哉)、稲垣祥、レオ・シルバ、仙頭啓矢(62分:柿谷曜一朗)、吉田豊(75分:相馬勇紀)、FW酒井宣福(88分:金崎夢生)、マテウス・カストロ