AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に臨む浦和レッズのキャプテン、西川周作が落ち着いて闘志を口にした。タイのブリーラムで戦う中2日の6連戦。チームの一体感と若手の欲、中堅の意地、かつての仲間からのメッセージを手に、アジア制覇への第一歩を刻む。

上写真=西川周作は帯同している西芳照シェフの「パスタとうなぎが楽しみです」とタフな日々を乗り切る(写真◎スクリーンショット)

「初戦は間違いなく大事」

「何が起こるかわからないのが、ACLです」

 西川周作はサンフレッチェ広島と浦和レッズで6度、この大会を経験して、2017年にはアジアチャンピオンにもなっている。その豊富な経験から、ACLの難しさをそう表現した。西川にとってもセントラル方式は初めてで、会場となるタイのブリーラムを覆う高温多湿の気候、中2日で6試合という超過密日程、「天皇杯のものに近い」から「無回転で飛んできて、軽く蹴っても飛ぶ」というボール。「何が起こるかわからない」条件は揃っている。

 イレギュラーを乗り越えるのは、チームの結束力が一番。選手だけのミーティングも行って、勝利への思いを一つにしてピッチ外でも準備を整えた。キャプテンとしては、ピッチの上で目の色を変えてボールを追う仲間たちの姿勢にも刺激を受けている。

「若い選手から、絶対に試合に出てやろうという迫力を感じていて、練習中の球際や切り替えもすごかったです」

 すべての選手に出番が来ることが想定されるスケジュールで、チャンスをものにして勝利を手にする欲望がこぼれ出てくるのを感じているという。しかしそれは、若手選手だけではなかった。12日の練習はFC東京戦に出場しなかった選手が参加したが、そこで見せた迫力に心を打たれた。

「ずっとスタメンで出ていたけれど、FC東京戦ではメンバー外だったので、関根選手は練習していたんですけど、そのクオリティーや気持ちを全面に出している姿が素晴らしかったんです。僕は関根選手に期待しています、ここからのやってやる感は一番すごいですし、やってくれると思っています」

 ダヴィド・モーベルグの加入もあって、アカデミーからの生え抜きである関根も厳しい競争にさらされている。そのハートに火がついたのだろう。

 アジアの戦いは独特なものになるが、だからこそ「はっきりと」がキーワードになりそう。

「ラインの押し上げは明確に、はっきり高くしたいと思います。前線と間が開いてしまうとオープンになって体力が奪われることにもなります。ボールを動かすときには深さを取ってもいいけれど、相手陣地に入ったら最終ラインはコートの半分まで上げてコンパクトにして、ボールを握る時間を増やしたい」

 自分たちのスタイルを打ち出すのと同時に、体力を上手にコントロールするゲームマネジメントの点からも、はっきりコンパクトに陣形を保つことを意識していく。

 初戦の相手、ライオンシティ・セーラーズはシンガポールリーグの覇者だ。同リーグのアルビレックス新潟シンガポールに所属する元チームメートの李忠成にアドバイスを求めたそうだ。

「チームの印象を聞いたんですけど、外国籍選手が何人かいて、能力の高い選手がいるから気をつけて、ということでした。前線から奪いに来るけれど、先に点を取れば相手だからがんばってね、というメッセージをもらいました」

 一体感。若手の欲。中堅の意地。かつての仲間からのメッセージ。困難な大会を戦う上で、頼もしいアイテムがどんどん揃っていく。あとはしっかりと守るだけだ。ここまでACLで49試合に出場してきた。次の試合が通算50試合の節目。

「初戦は間違いなく大事ですから、予選突破を目指すためにも第1戦に集中して戦っていきたい」

 2019年のこの大会では決勝に進出しながら、第1戦に0-1、第2戦に0-2で敗れている。忘れ物を取りに戻る第一歩を、しっかりと踏みしめたい。


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