明治安田生命J1リーグにおいて最も印象深いアシストをピックアップする「月間ベストアシスト」。2・3月の受賞者は、セレッソ大阪のDF山中亮輔だ。サッカーマガジンWEBも参加する「DAZN Jリーグ推進委員会」では今シーズンも「月間表彰」を実施しており、当サイトでベストアシストを選出、当該選手のインタビューを行なった。本人が明かす、あの正確無比なクロスの秘密とはーー。

「出場したらインパクトのある仕事を」

画像: 左足のひと振りで一気に形勢を変えられるのが山中の魅力だ(写真◎J.LEAGUE)

左足のひと振りで一気に形勢を変えられるのが山中の魅力だ(写真◎J.LEAGUE)

――1-0で勝った4月10日の第8節・ヴィッセル神戸戦では高い軌道のクロスを送り、FW加藤陸次樹選手のヘッドでの決勝ゴールをアシストしました。

山中 神戸のセンターバック2人は高さがあるので(DF菊池流帆は188センチ、DF小林友希は185センチ)、まず2人を越えなければいけないと考えていました。左サイドバックとの間に落とすようなイメージで蹴ったので、清水戦のように速いボールで抜けていくというよりは、陸次樹のヘッドへのピンポイントしかなかったと思います。あれもイメージ通りの軌道でした。

――クロスや結果へのこだわりは、いつ頃から強くなったのですか。

山中 柏レイソルでは試合にあまり出られず、2017年に横浜F・マリノスに完全移籍して、試合に出場し続けることの難しさを知りました。自分は攻撃で違いを作るところで勝負しているので、アシストやゴールという数字は常に求めていく必要があります。そこで違いを作る選手になれば、常に試合に出られると思っているので、数字へのこだわりは、クラブを移籍するにつれて強くなっていきました。

――横浜F・マリノスから浦和レッズ、今季からのC大阪と、新しいクラブに移れば、そこで自分の力を示す必要がありますからね。

山中 そうです。自分の存在価値を証明するためにも、数字、結果を出すことは常に意識しています。

――その結果を出している今季、ここまでは順調と言っていいのではないですか。

山中 ポジション争いで、すごく苦労すると思ってセレッソに来ました。やはり簡単ではないですし、ポジションを守らなければいけません。出場したらインパクトのある仕事をする必要があって、今は数字を残すことができていますが、これを積み重ねてポジションを守っていけるように、もっとやらなければいけないです。

――そのために、普段から居残り練習をしているのですか。

山中 若い頃は、めちゃくちゃ練習していましたね。試合に出られないときは、コンディションよりもクロスのフィーリングの方が大事なので、意識して練習しました。試合に出るようになるとコンディションも考えなければいけませんが、それ以外の時期は、かなりやります。今季セレッソでも最初の頃は、FWの居残り練習でたくさんクロスを送りました。それによって中に入る選手も自分のクロスの質を理解してくれるので、移籍直後は特に多くやるようにしています。

――ところで千葉県出身の山中選手は、これまでずっと首都圏のクラブでプレーしてきましたが、初めて関西のクラブに移籍しました。

山中 来る前は正直、関西弁は怖いな、というイメージがあったのですが(笑)、全然そんなことはなくて、人情味がありますね。お店で接客してくれる人も、みんな優しいです。

――山中選手の新しいホームスタジアムは、ヨドコウ桜スタジアムです。

山中 ファン・サポーターとの距離が近く、応援がダイレクトに伝わってくるので、すごく魅力的です。今季リーグ戦ではホームで勝てていませんが、応援してくれる皆さんを喜ばせるためにプレーしているので、常に感謝の気持ちを持って頑張りたいです。

――サイドのプレーヤーは、特に観客との距離が近いですね。

山中 すごく反応が伝わってきます。観客がいてこそのプロスポーツだと思っているので、素晴らしく魅力的なスタジアムと、強いセレッソ大阪を、みんなで作っていきたいです。

――さらにクラブが調子を上げていくために、どんなことが求められると考えていますか。

山中 先制されたときの戦い方が難しいと感じています。0-1で敗れた柏レイソル戦もそうでしたが、先制されて、相手がブロックを作って守ってきたときの崩し方が、チーム全体の課題です。ハイプレスからのショートカウンターは、かなり形になってきていますし、選手たちも自信を持ってやれているので、あとは自分たちがボールを持ったときに、何ができるかが求められています。

――そこでは、山中選手が言ったような「DFは何もできない」というクロスも、現状打開策の一つになりそうですね。

山中 もちろん、自分の怖さは常に出していきます。それ以外にもコンビネーションで崩すプレーなどを、すり合わせながら高めていきたいです。

――昨季は公式戦で無得点でした。アシストだけでなく、そろそろゴールも決めたいですね。

山中 ミドルシュートは常に狙っていて、キックのフィーリングはすごく良いので、もうすぐだと思います。ゴールシーンをたくさん見せられるように頑張りたいです。ゴールが決まるようになれば相手が警戒して、よりプレッシャーをかけてくるので、ワンツーで抜いたり、ワンタッチではがしたり、攻撃のバリエーションも増えると思います。

――最後に、ファン・サポーターの皆さんへのメッセージをお願いします。

山中 いつも、たくさんの応援ありがとうございます。何よりホームで多くの勝利をつかみたいので、これからも皆さんの力を借りながら、ヨドコウ桜スタジアムで勝ち点3を取るように頑張っていきます。応援よろしくお願いします!

取材・構成◎石倉利英 写真◎J.LEAGUE

※本文中の数字はすべて4月11日時点

◆Profile◎やまなか・りょうすけ/1993年4月20日生まれ、千葉県出身。小学生のときから柏レイソルのアカデミーでプレーし、U-12、U-15、U-18を経て2012年にトップチームに昇格。14年のジェフユナイテッド千葉への期限付き移籍を挟み、16年まで在籍した。17年に横浜F・マリノスに完全移籍し、リーグ戦32試合出場・4得点と過去最高の結果を残した18年には日本代表デビューも果たしている。19年から21年までの浦和レッズでのプレーを経て今季、セレッソ大阪に完全移籍。左サイドを主戦場に、左足から繰り出す正確なクロス、パワフルな中長距離のシュートを武器とする。171cm、65kg


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