上写真=FC東京も浦和もアグレッシブな姿勢でプレーし、勝ち点1を分け合った(写真◎J.LEAGUE)
■2022年4月10日 J1リーグ第8節(味の素ス/観衆22,429人)
FC東京 0-0 浦和
・FC東京メンバー:GKヤクブ・スウォビィク、DF渡邊凌磨(74分:三田啓貴)、森重真人、エンリケ・トレヴィザン、長友佑都、MF安部柊斗、青木拓矢、松木玖生(64分:中村帆高)、FW紺野和也(46分:アダイウトン)、ディエゴ・オリヴェイラ、永井謙佑(81分:山下敬大)
・浦和メンバー:GK西川周作、DF酒井宏樹、岩波拓也、アレクサンダー・ショルツ、明本考浩、MF岩尾憲、柴戸海、ダヴィド・モーベルグ(64分:松尾佑介)、江坂任、小泉佳穂(81分:アレックス・シャルク)、FWキャスパー・ユンカー
基準を持ちながらやるべきことができていた(ロドリゲス監督)
スペイン人監督が指揮をとるチーム同士の対戦は、激しい戦いになった。序盤はFC東京が前向きの守備から攻撃に転じて浦和ゴールに迫っていった。渡邊、D・オリヴェイラ、松木が次々とフィニッシュに絡む。プレスから攻撃につなげるプレーがスムーズかつ効果的で、前半20分まではホームチームが良いペースで試合を進めていた。
しかし、浦和も堅い守備でゴールは許さない。時間の経過とともに相手のプレスに耐性がつくと、ボールをテンポよく動かして前進するようになる。頻繁に内側に入り込むモーベルグと下がって受けるユンカーがFC東京のアンカー、青木の横でボールに触れる機会を増やし、攻めのリズムを生んでいく。22分には柴戸、ユンカーとつながり、最後はモーベルグが蹴り込んだが、VARの結果、オフサイド。ゴールは認められなかったものの、浦和の攻撃が線としてつながった瞬間だった。
浦和ペースながら前半を0-0で終え、迎えた後半。FC東京はスタートから紺野に代えてアダイウトンを投入し、ゲームを動かしにかかった。一方の浦和も64分にモーベルグに代えて松尾をピッチに送り、サイドの活性化を図る。するとFC東京も松木に代わって入った中村が右サイドにフタをして対応。「よりゲームをコントロールしよう」と考えてアルベル監督は渡邊をトップ下に移し、その背後に安部と青木がドイスボランチとして並ぶ形にフォーメーションに変更した。直後に渡邊が負傷交代したことで「プランが少し狂った」と指揮官は明かしたが、相手の出方をうかがいつつ、自らの特長を最大化する策を講じていった。浦和も80分を過ぎに新戦力のA・シャルクを投入。勝ち点3をつかむためのカードを切った。
5分と表示されたアディショナルタイムも、互いにゴールを目指したが、ついぞネットは揺れず、試合終了のホイッスルが鳴った。連戦であり、暑さもある中での文字通り、死力を尽くしたゲーム。最後の最後まで攻めの姿勢を示しながら手にすることになった勝ち点1について、「きょうはまさにフットボールの試合を見られたと思います。我々の時間もありましたし、浦和の時間もありました。お互いにチャンスがあり、拮抗した試合でした。そういう意味で引き分けという結果は妥当だったと思います。より戦術的で、よりヨーロッパ的な試合だった」とFC東京のアルベル監督は語った。
対する浦和のリカルド・ロドリゲス監督は「ゴールは取れませんでしたし、常に良かったというわけではありませんが、長い時間で非常に良いプレーができました。良いプレーというのはチームが基準を持ちながらやるべきことができていたということです。難しい相手に対してこれだけのプレーができ、大きなピンチを迎えることもなかった」と振り返った。
ゴールは生まれなかったものの、打てる手を打ち、勝利に向かって前のめりに戦い続けて勝ち点1を得た。両指揮官の受け止めは、どちらもポジティブなもの。いま重要なのは一戦一戦、収穫と課題を整理しながら進んでいくこと。
まだ道半ばの状況で見せた熱闘は、次につなげるべき内容になったという点で、指揮官の意見が一致していた。