明治安田生命J1リーグの第7節が6日、各地で行われ、埼玉スタジアムでは浦和レッズと清水エスパルスが対戦。前半は浦和、後半は数的優位な状況を手にした清水が何度もチャンスを得たものの、勝ち切ることはできず、試合は1-1のドローに終わった。

上写真=両チームとも最後まで『勝ち越しゴール』を目指しながら決め切れず。勝ち点1を分け合うことになった(写真◎J.LEAGUE)

■2022年4月6日 明治安田生命J1リーグ第7節(埼玉スタ/観衆18,757人)
浦和 1-1 清水
得点者:(浦)江坂任
    (清)ヴァウド

・浦和メンバー:GK西川周作、DF馬渡和彰(58分:宮本優太)、岩波拓也、アレクサンダー・ショルツ、大畑歩夢(90+4分:知念哲矢)、MF伊藤敦樹、岩尾憲、ダヴィド・モーベルグ(81分:明本考浩)、江坂任、松尾佑介(81分:関根貴大)、FWキャスパー・ユンカー(58分:安居海渡)

・清水メンバー:GK権田修一、DF原輝綺、ヴァウド、鈴木義宜、山原怜音、MF片山瑛一(90+2分:立田悠悟)、宮本航汰、竹内涼(61分:ホナウド)、神谷優太(75分:滝裕太)、後藤優介(61分:中山克広)、FW鈴木唯人(61分:オ・セフン)

互いに勝ち越しの好機が訪れたが…

 走る、突破する、そして入れ替わる。あるいは追い越して裏に飛び出し、ポケットに進入してクロスを上げる。浦和の右サイドの連動が生み出す躍動感は、試合開始直後から清水守備陣の脅威となっていた。

 右サイドバックの馬渡、右サイドハーフのモーベルグ、そこに第3列のボランチの位置から伊藤が積極的に絡み、まさに入れ替わり立ち替わり右サイド攻略を狙う。その動きに後手を踏む清水DF陣はプレッシャーをかけられず、じりじりを後退することになった。そして浦和は、前が詰まるとサイドを変えて左からもゴールへのルートを探っていく。幅を使い、相手にズレを生み出し、クロスを上げ、ミドルも放つ重層的な攻めを繰り出した。15分過ぎまでは完全に浦和のペース。アウェーチームにとっては苦しい時間が続く展開だった。

 しかし集中して守ることで清水はゴールを許さず、浦和の猛攻を耐えしのぐと、速攻をきっかけに敵陣へ進入し始める。20分を過ぎたところで原、神谷、後藤がパスをつなぐと、山原へと展開し、クロスのこぼれを後藤が狙う場面を生み出した。枠こそとらえられなかったものの、守備から攻撃へのスムーズな切り替えに成功。ここから清水が立て続けにチャンスを得ることになる。

 攻撃機会は浦和の方が多い。ただ清水も数は限られるが、攻め筋を見いだして開始から30分が過ぎ、ついにネットが揺れた。意外と言えば、意外な形で。

 清水のスローインを奪った岩尾が江坂につなぎ、前方へスルーパス。ユンカーが反応すると、ボックス内でボールをつかみにいった権田の足にぶつかり転倒。PKが宣告された。

 これを江坂が冷静に決めて浦和が先制。ゴールに迫りながらも決め切れなかった浦和にとっては待望の、相手の攻めを水際で跳ね返してきた清水にとっては悔しいゴールになった。

 その後、41分には伊藤のトラップが乱れたところを後藤が奪い、鈴木唯が狙うなど惜しい場面をつくる。だが、同点にはできず、後半に折り返す。

 53分、浦和の伊藤がこの日2度目の警告で退場となると、互いに選手を交代させて展開にも変化が生じた。一人少ない浦和は、ユンカーと馬渡を下げて、安居、宮本を投入。江坂を1トップに置く4-4-1で構え、守備から鋭いカウンターを狙う戦いにシフトする。一方の清水も、61分に193センチの長身FWオ・セフン、中山、ホナウドを同時に投入。前線にターゲットを据えて、シンプルなクロスからセカンドボールを回収して浦和ゴールに迫った。

 同点ゴールが生まれたのは69分だ。右CKの場面でキッカーの神谷はショートコーナーを選択。山原がダイレクトで上げたクロスボールを、後方から飛び込んだヴァウドがヘッドを決めた。ネットを揺らしたヴァウドの説明によれば「デザインされた形」だった。ボールを競りに行った宮本の上から叩き込み、清水がゲームを振り出しに戻した。

 数的不利な状況の浦和はラインを下げられ、クリアを拾われるケースが増えていく。カウンターに出ても相手ゴールまでの距離が遠いため、なかなかフィニッシュに持ちこむことができなくなった。対する清水は流れをつかみ、クロス→回収→2次攻撃の循環で逆転を目指す。アディショナルタイムには片山に代えて立田をピッチに送り、CBのヴァウド前線に上げてパワープレーにも出た。だが、勝ち越しゴールは生まれず、試合終了の笛が鳴る。

 浦和は良い時間帯に追加点を奪えず、今季ホームで3度目となる退場者を出し、引き分けることになった。清水も一人多い状況となってから40分近い時間がありながら逆転はかなわなかった。

 清水の平岡宏章監督は「決め切れず、課題もありますが、この勝ち点1をポジティブにとらえたい」とアウェーの地からポイントを持ち帰る事実を前向きにとらえた。浦和のリカルド・ロドリゲス監督は「試合の入りが良く、内容的には2-0で勝ってもおかしくなかった。ですが、今回も退場者が出てしまった」と悔しさをにじませた。

 ともに勝利に手をかけた瞬間があった。しかしながら、つかみ取るには至らなかった。さらに2ポイントを加える可能性があったことを考えれば、互いに悔しさの募るドローと言えるだろう。この結果、浦和は暫定8位に後退。清水は暫定15位に浮上した。


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