上写真=マルシーニョが86分にようやくゴール。完封負けは免れた(写真◎J.LEAGUE)
■2022年4月2日 J1リーグ第6節(等々力/18,090人)
川崎F 1-4 C大阪
得点者:(川)マルシーニョ
(C)乾貴士2、山田寛人2
「顔を上げて次にいい準備を」
これぞフロンターレゴール、と言えそうな鮮やかなコンビネーションから、マルシーニョが今季2点目を決めてみせた。
右サイドで動かしておいてから、小塚和季が右から左へピッチを横断するパスを送った。受けたマルシーニョは少し持って、左サイドバックから中央に入ってきた佐々木旭に預ける。ここまでが比較的スローペース。
佐々木にボールが入るのを見計らって、ゴール前で左斜め前に小林悠が走り抜けた。そこに佐々木がワンタッチでパスを入れた瞬間に、スピードアップして変化をつける。左からゴール前に入り込んだマルシーニョに小林がヒールで残すと、右足でゴール右に送り込んだ。
素晴らしいゴールだった。マルシーニョも「常日頃の練習通りのものが自然と出ました」と胸を張った。ただ残念なのは、これが0-4というビハインドを背負ったあとのゴールで、しかも決まったのが試合も終わりに近づく86分だったということだ。
「ゴールはうれしく思いますが、勝てなかったことは残念に思います。でも、顔を上げて次にいい準備をしていきたい」
13分、28分、36分、68分。すべてセレッソ大阪にゴールを割られて、まったく王者らしからぬ展開だった。少なくとも3つはミスが失点に直結していて、余裕を失っていた。
それでも、マルシーニョ自身は快調だった。2人の間をすり抜けてゴールに迫る自慢のドリブル突破をキックオフ直後に見せて、好調を感じさせた。51分には小塚のパスをペナルティーエリア内で受けて、抑えに来たDFの脇を抜く巧みな右足シュートで狙い、惜しくもバーに弾かれるシーンもあった。
今季初の無得点試合になりそうなところを救った形だが、1-4という敗戦はなかなか受け入れられるものではない。ましてや試合直後だったから「この敗戦を整理して言葉にするのは難しい」と悲しい顔を見せた。ただ、「一人ひとりが戦う姿勢を見せた」ことには胸を張った。ファイティングポーズを捨てて敗れたわけではないのだ。
4月は9連戦で、ジュビロ磐田、柏レイソルとJ1で戦ったあとに、マレーシアに飛んでAFCチャンピオンズリーグのグループステージ6試合をすべて中2日で戦わなければならない。
「今日のことはこれで忘れて、まだまだたくさん試合が続いていくのでいい準備していかなければいけない」
次の試合に目を向けることで切り替えていくことは、連戦ならではのメリットかもしれない。マルシーニョはこの試合の好調ぶりをさらに高めて、チームを引っ張っていけばいい。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE