明治安田生命J1リーグ2021優勝の川崎フロンターレと第101回天皇杯ウィナーの浦和レッズが激突した富士フイルムスーパーカップ2022。早々に浦和が先制し、そこから川崎Fが押し込みながらも浦和が守り抜く展開になった。81分には浦和がカウンターから追加点を挙げて、首尾よくシーズン最初のタイトルを獲得した。

上写真=浦和が前年王者の川崎Fを無失点で下して、最初のタイトルを獲得!(写真◎小山真司)

■2022年2月12日 富士フイルムスーパーカップ2022(日産ス/18,558人)
浦和レッズ 2-0 川崎フロンターレ
得点者:(浦)江坂任2
    (川)なし

画像: ■2022年2月12日 富士フイルムスーパーカップ2022(日産ス/18,558人) 浦和レッズ 2-0 川崎フロンターレ 得点者:(浦)江坂任2 (川)なし

浦和の希望、川崎Fの課題

 江坂任の2つのスマッシュヒットで、浦和レッズが川崎フロンターレを倒してみせた。

 先制ゴールは電撃的だった。開始からわずか7分、右で酒井宏樹が抜け出して素早く折り返すと、ゴールエリアの右角付近で江坂任がダイレクトでゴール左へ蹴り込んでみせた。

 お互いに攻撃スタイルを打ち出す中で、浦和は序盤は相手と見合う展開ではなく先に仕掛ける戦いを選んだ。鋭い出足でボールに猛烈にアタックを仕掛けて絡め取り、押し込んで素早くゴールに迫る。「川崎に快適にプレーさせないプランで入った」というリカルド・ロドリゲス監督の狙いがきれいにはまった先制点だ。

 15分を過ぎると、いつもの川崎Fのペースへ。浦和が奪えばカウンターを仕掛ける流れだが、じっくりと川崎Fがにじり寄る展開になる。だが、勝負どころで突き崩せない。後半もほぼ同じ展開。川崎Fがあの手この手で浦和の守備陣を崩そうとしながらも、最後の最後で破壊できなかった。

 すると、浦和が我慢の時間を続けた「ご褒美」が届く。何度か仕掛けたカウンターのうち、81分に実った。伊藤敦樹のロングパスが右サイドに出てくると、車屋紳太郎に収められそうになるものの明本考浩があきらめずに追いかけた。ボールがこぼれて奪うと、すかさずサポートに入った江坂へ。戻ってきた谷口彰悟を左にかわしてから、左足でゴール右に突き刺した。GKチョン・ソンリョンが動けない鋭いフィニッシュだった。

 浦和としては、リカルド・ロドリゲス監督が「欲を言えば主導権を握って、相手ゴール近くでプレーする時間を長くしたかった」と話すように、理想とは異なる90分だったかもしれない。それでも、狙い通りの見事な先制点と、激しく守りながらカウンターで突き刺す鮮烈な展開は、十分に絶対王者の川崎Fを倒すにふさわしかった。

 川崎Fは新型コロナウイルス感染症で陽性判定を受けた選手2人を欠くなど、難しい戦いになった。鬼木達監督がまず挙げた課題は攻撃について。攻めに出る時間が長かったにもかかわらず、突き崩せなかった。

「この時期によくあることではありますが、タイミングのところで味方を確認して、確認して、になってしまいました。相手を見ながら、どこが空いているのかを見て、動かない相手を思い切って動かしにいかなければいけなかった。そのために裏へ動き出す動きが少なかった。アクションを起こして人を攻略したりスペースを作ることが改めて必要だと感じました」

 緊迫した90分の戦いを経て、浦和の希望と川崎Fの課題があらわになって、2022年のJリーグが華々しく始まった。

現地取材◎平澤大輔 写真◎小山真司


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