2月11日、ジェフユナイテッド千葉と柏レイソルによる『第26回ちばぎんカップ』が開催された。昨年は新型コロナウイルスの影響で中止となった伝統のプレシーズンマッチが2年ぶりに行なわれた。ともにリーグ開幕に向けて仕上がりをチェックする試合だったが、勝ったのは新戦力ドウグラスがゴールを決めた柏。これで通算成績は柏の17勝9敗となった。

上写真=前半10分に決勝点となるゴールを挙げた柏のドウグラス(写真◎小山真司)

■2022年2月11日(金・祝)第26回ちばぎんカップ(@フクアリ)
千葉 0-1 柏
得点:(柏)ドウグラス

・千葉(3-4-2-1):GK新井章太、DF新井一耀(81分:高橋壱晟)、チャン・ミンギュ、鈴木大輔、MF福満隆貴(84分:米倉恒貴)、小林祐介、田口泰士、秋山陽介(81分:末吉塁)、風間宏矢(81分:高木俊幸)、見木友哉(71分:サウダーニャ)、FW櫻川ソロモン

・柏(3-5-2):GK佐々木雅士、DF大南拓磨、エメルソン・サントス、古賀太陽、MF中村慶太(78分:川口尚紀)、マテウス・サヴィオ、椎橋慧也(87分:ドッジ)、戸嶋祥郎(60分:大谷秀和)、三丸拡、FW細谷真大(73分:アンジェロッティ)、ドウグラス(87分:鵜木郁哉)

呼吸が整わず失点。そして連動して先制点

 先制したのはアウェーの柏だった。10分、自陣でパスをつながれたが、相手のミスを見逃さなかった。千葉のボランチ田口からダイレクトの縦パスが入り、シャドーの見木が後方にいた小林にボールを戻した。しかし球足が短く、すかさず柏のボランチ戸嶋がカット。そこから柏が連動した攻撃を展開した。

 戸嶋は椎橋に預けて自らは前線へと走り出す。椎橋が前線の細谷にパスを通すと、その前には相手3バックの間を走るドウグラスがいた。スルーパスに抜け出した新加入のストライカーは、GKの位置を見極めて冷静にネットを揺らした。

 相手のミスを逃さない抜け目のなさと一瞬で同じ絵を描き、素早くパスをつないでゴールを奪ったコンビネーション。この場面だけではなく、試合を通じて柏は守備から攻撃の切り替えが早く、既存選手の連動の中にしっかり新加入選手の持ち味をプラスしてみせた。

 対する千葉は、この失点シーンのように呼吸が合わない場面が散見した。見木のパスは小林が距離を詰めてくることを想定して出したと思われるが、小林はその場で受ける準備をしていた。このあたりの連係はまだまだ深まっていない印象。キャンプで新型コロナウイルスの陽性者が出てメンバーがなかなかそろわず、トレーニング時間が限られたことの影響もあったかもしれない。

 前半は柏リードのまま終了し、迎えた後半。千葉はアグレッシブな姿勢でゴールを奪いにいった。左のウイングバックを務めた新加入選手である秋山の果敢な仕掛け、そして前線でトライアングルを形成する1トップ櫻川のポストと2シャドーの見木、風間の連係で何度か柏ゴールに迫った。

 しかし、柏の守備陣は大きく崩れることはなく、3バック+両ウイングバックによる壁は後半も高かった。80分以降はややオープンな展開となったが、結局、次の1点は生まれず。試合はそのまま1-0で決着した。

 ともに収穫と課題が出た試合ではあっただろう。柏は連動性を見せ、右ウイングバックを務めた新戦力の中村が3バックの右CBの大南と連動しつつ攻守に能力を示し、同じく新加入のドウグラスが決定力を見せてチームを勝利に導いた。その一方で攻撃の形を何度もつくりながらもシュートそのものの数が限られた。シュート機会の創出はこの試合で見せた課題と言えるだろう。

 そして千葉。ミスがらみで先制点こそ奪われたが昨季終盤のソリッドな守備が健在であるところを示した。以降は集中した守りを見せ、とくにボールロスト後の帰陣には迷いがなく、しっかりスペースを埋めていた。ただ、同じく昨季同様に攻撃ではゴールが遠かった。終盤に新加入の高木がポスト直撃のシュートを放つなど惜しい場面もあったが、決め切るという課題は依然として残されたと言える。

 むろん、この試合はプレシーズンマッチ。両チームともに現在地を把握することに大きな意味がある。開幕まで、残された1週間あまりの時間で課題をどこまで克服できるか。そして収穫をより重要な強みにできるか。J1の柏は来週19日にアウェーで湘南と、そしてJ2の千葉は同じく19日にホームで岩手と対戦する。


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