上写真=シーズン最初にだるまに片目を入れるのも恒例。鬼木達監督はJ1の3連覇、ACL優勝へと突き進む(写真提供◎川崎フロンターレ)
「当たり前のところで見落としている」
鬼木達監督の6年目のシーズンが、始まった。
「とにかく毎日必死で、そこに追われているのが現状で」と相変わらず多忙だが、自らの進化にも取り組む日々だ。
「自分の中に変わらずあるのは、勝つために、魅力あるサッカーを見せるために、ということです。変化を恐れずに…というか、変化しないと勝てないので、刺激を受けながら自分自身もアップデートしていきます」
オフには他のクラブの監督をはじめ、さまざまに交流を深めて「話をしながら自分でも整理できました」と進化の糸口をつかんだ様子。
選手には改めて、J1で3連覇、ACL優勝という大目標を伝えた。
「J1の3連覇とACLという目標にまずしっかり目を向けること、自分たちでそこを狙える条件を作り出せたので、プレッシャーに感じるのではなく楽しむ形でやってほしい、と伝えました。サッカーの面でもう一段、二段上げていかないと簡単ではないよと」
2019年に挑戦したJ1の3連覇は阻まれ、昨年はACLでベスト8を前にPK戦で敗退した。リベンジだ。
「自分たちの強み、弱みを理解した中でサッカーをしていきたいと思います。当たり前のところで見落としている部分もたくさんあるので、誰でもどのチームでもやっているところで差をつけていければ、違った形のチームになると思っています」
鬼木監督が求めるのは、特別なチームになることではなく、すべてのチームをすべての部分で上回るチームというわけだ。それが本当の強さなのかもしれない。
その意味で注目は、サイドバックではないだろうか。右の山根視来、左の登里享平という絶対的な存在はストロングポイントだが、突き上げる選手を求め続けてきたのも事実。そこで楽しみなのが、流通経済大から加入した佐々木旭だ。本職は左サイドバックながら、2021年度の関東大学リーグではセンターバックでプレーしてMVPに輝き、右サイドバックも器用にこなすことができる。
「後ろ(ディフェンスライン)は全部できますから、ゲームにどれだけ絡んでくることができるか。意識が高くなれば面白い選手になると思っています」
鬼木監督も期待を隠さない。右は田邉秀斗や橘田健人もプレー経験があり、左は車屋紳太郎もいるが、佐々木が台頭してくれば、他の選手のコンバートの必要もなくなる。
「このチームの良さは競争」と鬼木監督。選手たちも監督自身も競い合って、最高の1年にするつもりだ。