上写真=長谷川健太監督が就任会見で「名古屋は指揮してみたいクラブの一つだった」(写真◎スクリーンショット)
「ゾクゾクするような試合を1試合でも多く」
長谷川健太監督が名古屋グランパスにもたらすもの。それはずばり「攻撃力」だと宣言した。
1月7日の記者会見で、長谷川新監督の言葉はどれも歯切れがよかった。目標を「リーグ優勝」に設定し、そのために「2021年の38試合で44ゴールというのは少し寂しい」と分析した。
J1のここ5年は、2017年と18年は川崎フロンターレが、19年は横浜F・マリノスが、20年と21年は再び川崎Fが頂点に立っている。得点数は順に71、57、68、88、81。最低でも57だから、まずはそのラインに到達する必要がある。優勝から逆算して、得点力アップを掲げてチーム作りを進めていく青写真を説明した。
「ストロングはそのままに、変えるべきところは変えていくために私を選んでくれたはずだと思います。守備の質は残しながら、攻撃に関しては昨シーズン44得点、一昨年は45得点で、50以上ないと優勝に手が届かないので、攻撃力をさらに上げていきたい」
50得点以上のためには、「10点以上取れる前線の選手が2、3人いないと」と具体的に示す。実現のためのキーワードは2つありそうだ。まずは、「アグレッシブ」。
「アグレッシブに前から奪いに行く戦いが自分の持ち味で、メリハリの部分はいままで同様、行くときは行く、考えるときは考えるとやってきて、そういうあり方で名古屋でも戦いたいと思っています」
2021年まで指揮を執ったFC東京でも、この「アグレッシブ」という言葉は監督の口からも選手の口からも頻繁に出てきた。そのとおりに戦うことができれば、破壊力のある攻撃でゴールを陥れることができていた。
もう一つは、それに関連するが「動き」というワード。
「もっともっと選手に動きがあるというか、もう少し飛び出していくようなプレーが増えていくと、見ていても楽しいし得点も増えていきます。動きのあるサッカー、ですね」
「飛び出してからの得点があまりなく、クロスからやセットプレーからが多かったと思います。もっと背後に抜け出していくことが必要で、そういうプレーがないわけではありませんが、チームとして共有していないので、動きはあるけど使わない場面があります。もっともっとゴールに直結するプレーを使うような攻撃を増やしていきたい」
まず真っ直ぐにゴールに迫るダイレクトプレーの意識を最優先にする。その姿勢は、別の言葉でも表現している。
「もちろんポジショナルサッカーを否定はしないですし、それも一つの戦い方です。でも、自分はシンプルにゴール目指すことはブレずに戦っていきたいと思います。ただ直線的にゴリゴリと力で、というわけにはいかないので、そこは違う方法で戦っていきます。取るか取られるかがサッカーの魅力であって、ゾクゾクするような試合を1試合でも多くしたいですし、相手があることなのですべてがそうなるわけではないけれど、斬るか斬られるかという試合を1試合でも多くやりたいと思います」
これこそまさに、健太イズム。ゴール前での迫力あるシーンが増えることになりそうだ。
「自分自身はインテンシティ高く、アグレッシブなサッカーを志向しています。そういうイメージのサッカーができるようになれば、必ず優勝争いができるチームになります」
「ガンバでも優勝して東京でも19年にもう一歩のところでひっくり返されましたが、最後のところで取れるかどうかは別にして、そこまで持っていくためにどういうチームを作ればいいのかはわかっています。あとはフロントとどれだけ情報を共有しながらサポートしてもらうかですし、もう一歩の部分は運も大事だと思います。そこまで持っていければ、名古屋というチームに風が吹くのではないかと思っています」
その豊富な経験から、「優勝できるチーム」を作る自信を口にした。そのノウハウをしっかり選手にたたき込んで、2010年以来2度目のリーグチャンピオンの座を目指していく。