上写真=チョン・ソンリョンは、レアンドロ・ダミアンと得点王を争う前田大然だけではなく、すべての横浜FMの選手のシュートを止めるつもりだ(写真◎J.LEAGUE)
松田陸と杉本健勇
J1も残すところあと1試合。川崎フロンターレは総得点が80で、最も多い横浜F・マリノスに1点及ばず、逆に失点数2位の名古屋グランパスより3も少ない27の最少失点だ。つまり、最終節で横浜FMに勝って、最も多い得点、最も少ない失点でリーグ連覇に華を添えることができるのだ。
GKチョン・ソンリョンはもちろん、失点をゼロで終えることに集中する。「個人的には最少失点を目標にしてやってきました」とシーズン当初からの狙いを達成できる目前まで来ている。それに、得点王争いではチームメートのレアンドロ・ダミアンと横浜FMの前田大然が22ゴールで並ぶから、前田を止めてレアンドロ・ダミアンが決めて、タイトルを取ってもらいたい思いもある。
「もちろん、前田選手だけではなく、誰からも失点させない気持ちでいきます。そうすれば、運が転がってくると思う」と1人にだけ注意を払うわけではない。優勝が決まった浦和レッズ戦から4試合続けて失点していて、リーグ戦のあとに行われる天皇杯準決勝と決勝を見据えても、悪い流れは断ち切っておきたい。
いいイメージは持っている。今季、印象に残っている数々の名セーブの中で2つ、納得のものを挙げた。
「アウェーのセレッソ戦で松田陸選手のミドルシュートを触ったセーブ、そしてもう一つ、シーズン最初のころの浦和とのアウェーで、杉本健勇選手のボレーを止めたシーンです」
11月20日の第36節、C大阪戦の73分に、松田陸がきれいに右足のインステップに当てた伸びのあるシュートを右に跳んで右手の指先で触ってコースを変えた。3月21日の第6節、浦和レッズ戦では12分に杉本(現横浜FM)が川崎Fから見て右からのクロスにダイレクトで合わせた右足ボレーを、軽やかに左に跳んで右手で弾いてみせた。
「でも、それを超えるセーブはないほうがいいですよ」と笑う。そんな危険なシチュエーションはないほうがいい、というわけだ。
早いもので、川崎Fに来て6年目のシーズンが終わろうとしている。今季は3月に第2第3腰椎横突起骨折を患って欠場した時期もあった。そんなときに支えてくれたのは「チームGK」だ。
「(GKコーチの菊池)新吉さんはグラウンドでも日常でも試合でも、足りないことを落とし込んでくれます。タンちゃん(丹野研太)は、自分がシーズン序盤にケガをして試合に出たときにいいプレーしてくれたし、そうでないときでも大きな声で鼓舞してくれました。それは安藤(駿介)も(イ・)キョンテもそうで、1年間、切磋琢磨してきて、自分自身が学ぶところがたくさんありました。本当にいいチームだと思います」
特殊なGKというポジションで争う仲間だからこその一体感。リーグ最少失点を達成したら、その勲章はすべてのチームメートと、そして何より「チームGK」と一緒に誇るつもりだ。