上写真=前日会見に臨んだ名古屋のフィッカデンティ監督(写真◎J.LEAGUE)
2年前は取り巻く環境が残念だった
10月、名古屋はどのチームよりも厳しい日程をこなしてきた。ACLで韓国に渡り、試合に臨み、帰国後はバブルの中で天皇杯準々決勝を戦った。結果は出せなかったが、その歩みがチームの糧になった。
「どういう過程でこのゲームを迎えるか。大変な日程の中でやってきて、いろいろなものがあると思います。それだけの犠牲を払ってでも、こういった舞台に立てた。明日は何人かの選手を(27日の)天皇杯から変えるかもしれません。あらゆる言い訳は無しにして、出せるものはすべて出すように。どうアプローチするかというところで勝敗を分けると思うので、そういった形で選手たちをグラウンドに送り出したいと思います」
フィッカデンティ監督はハードな日程を乗り越え、ルヴァンカップ決勝にたどり着いたことを噛みしめた。
「ACLに向けて13日に韓国へ出発してから今日まで、日数の計算がお任せしますが、多くの犠牲を払ってきた。明日、自分たちがやってきたことの価値があるんだと、自分たち自身でしっかり見せて、良い終わり方をすることが大事。相手がどうこうというよりは今回はどれだけ自分たちの力を出せるか。選手たちにもそこに神経を使ってもらいたい。今回は私自身もそういう準備の仕方を徹底して、この2日間を過ごしています」
「この2日間」というのは、27日の天皇杯準々決勝からの時間だ。その試合で名古屋はルヴァンカップ決勝の相手でもあるC大阪に0-3で敗れた。敗戦はもちろん悔しいものだが、「いい終わり方」をするためにチームは前に進んできた。指揮官はその点を強調した。
2019年途中に監督に就任した当時を振り返ると「本当に大変だった」という。チームが置かれていた「難しい状況からあらゆるものを変える必要があった」からだ。
「グランパスを取り巻く環境や感覚がとても残念でもったいないもので、面白くない雰囲気に満ちていた。だから結果を出しながらその雰囲気を変えなければいけなかった。去年はその1年目。ACLに出場するという結果を残したが、ただそれは私だけが出したのではなく、チームが出した結果。そして2年目を迎え、今年はそのACLで敗れましたが、準々決勝で負けた浦項は決勝に進出していて、そういう強いチームに敗れるまで勝ち続けた。天皇杯ではセレッソに敗れましたが、準々決勝に進みました。そしてルヴァンカップはファイナルを迎え、リーグ戦もACL出場権を争える位置にいる。ただわれわれの取り組みは、結果を残して皆さんの印象にも残ると思います。決勝で勝つことで、いろいろなものが良い方向につながっていくということは分かっています」
指揮官は困難な2年前の状況から、ここまで成長を遂げたチームを称え、その意味を口にした。
名古屋はクラブとして初めてルヴァンカップの決勝の舞台に上がる。すでに歴史を創ったが、現チームがその名をしっかりと刻み込むには、やはり頂点に立つ必要がある。指揮官もそのことを承知していた。
クラブ史上に残る厳しい1カ月間の戦いもいよいよフィナーレ。C大阪にリベンジし、聖杯を掲げて10月を締めくくるーー。