上写真＝小菊昭雄監督は2017年に次ぐ喜びをみんなで味わうために、決勝の舞台に挑む（写真◎J.LEAGUE）
「ゴールを奪うデザインを共有できるか」
ルヴァンカップ決勝で名古屋グランパスに挑むセレッソ大阪は、選手の誰もが小菊昭雄監督を「胴上げしたい」と意気込む。
例えば、瀬古歩夢が「優勝したい気持ちと、小菊さんを胴上げしたい気持ちが強い」と言えば、清武弘嗣も「小菊さんにタイトルを取ってほしい。たぶんチーム全員が思っていることなので、実現できたら」、キム・ジンヒョンも「メンタルを強くさせてもらった」とストレートに感謝を口にする。コーチ時代に選手に寄り添ってチームを下支えしてきて、現在の主力はそのサポートによって安心して自分の成長に打ち込めたのだ。
これだけ選手に慕われ、愛されているという事実は、優勝に向けた大きな大きなパワーになるだろう。
「この雰囲気でトレーニングして、4年前の光景、感動を強く思い出しました。改めてもう一度、あの感動をセレッソファミリーの皆さんと分かち合いたいという気持ちが強くなりました」
小菊監督は前日練習を終えて、感慨深く、そして決意を新たにそう口にした。今回と同じ埼玉スタジアムで、2017年11月4日のルヴァンカップ決勝で川崎フロンターレを下して初のタイトルを獲得した。小菊監督は当時、コーチとしてその歓喜の中にいた。
その再現を狙ういま、チームは理想的なコンディションにある。10月6日と10日のルヴァンカップ準決勝では、浦和レッズ相手に1-1、1-0で2試合合計2-1として突破。24日のJ1第33節では、2位で優勝争いを演じる横浜F・マリノスに2-1で勝利。27日の天皇杯準々決勝では選手を大幅に入れ替えて、出場機会の少ない選手の意地に託して起用すると、それに応えた選手たちが最高のパフォーマンスを見せて名古屋に3-0の完封勝利を収めた。難敵を3連続撃破しているのだ。
「ルヴァンカップ準決勝では強敵の浦和さんを相手に勝ちきって、その後リーグでマリノスさんに勝ち、水曜日は全員の力で天皇杯で勝ち上がりました。総合力で3連勝して今回の決勝に臨めます。素晴らしい競争の中で団結してチームが一丸となっていますし、明日は大阪に残って来ることができないメンバーの分も背負って全員で戦いたいと思います」
そのまっすぐさが選手の心をつかむのだろう。
名古屋には直前に快勝しているから優位に立てると思いきや、だからこそ警戒を強める。
「前線には個でゴールを奪える選手がいますし、少人数でゴールを狙う攻撃力がある素晴らしいチームです。彼らの良さを出させないようにグループとしてスペースと時間を与えないことがポイントになると思っています」
カップファイナルという独特の舞台で、そのためにできることはなんだろう。
「名古屋を相手にいかにうまくビルドアップして、安定してボールを前進できるか、そしてファイナルゾーンでチームとしてゴールを奪うデザインを共有できるか。それが私たちの大切なキーになります。天皇杯での対戦を含めて分析して、どうやって前進することが相手にダメージを与えられるかを共有してきました」
その果実を手にしたとき、選手たちは真っ先に小菊監督の体を宙に掲げるだろう。
