上写真=乾貴士は埼玉スタジアムで前日練習を行い、ゴールへのイメージを育んだ(写真◎J.LEAGUE)
「だから、彼らが活躍したのはうれしいんです」
10月29日13時、埼玉スタジアム。
セレッソ大阪がルヴァンカップ前日の公式練習を試合会場で行って、乾貴士はスタジアムを見渡しながら「明日ここでゴールできたら気持ちいいだろうな」とイメージした。
この夏に古巣に戻ってきて、さっそく迎えたタイトル獲得のチャンス。「帰ってきたからにはタイトルを取りたいと思っていましたが、こんなに早くチャンスが来るとは思っていませんでした。みんなに感謝したい」と、これまで勝利に貢献してきたチーム全員への感謝の気持ちをお守りに大舞台に立つ。
その思いは、27日の天皇杯準々決勝でさらに強くなった。同じ名古屋と対戦し、乾は欠場したが3-0で快勝。勝利をもぎ取ったメンバーは、これまでなかなかチャンスをつかめない選手がほとんどだった。
「天皇杯に出たメンバーは、リーグでなかなか出られず、ルヴァンカップでも機会はあまりない選手ばかりでした。だから、彼らが活躍したのはうれしいんです。みんな腐らずに100パーセント以上の練習を毎日やっているのを見てきているので」
だから、彼らのためにもカップを掲げたい。
「そういう中で(J1と天皇杯の)公式戦で連勝できて、メンバーが変わっても連勝できたのはチームが勢いづきますから、勝利は大きかった。次は僕たちの番です。明日、優勝して全員で喜びたいと思います」
24日のJ1第33節では優勝を争う横浜F・マリノスを2-1で下したが、チームを乗せる先制ゴールは乾が決めた。カットインから右足を振ると、ボールが相手に当たってコースが変わって転がり込んだものだが、10年ぶりの日本でのゴール。
「ラッキーなゴールでしたけど、ゴールはゴール。ああいうゴールでもうれしかったんです。ゴールはやっぱり気持ちいいから、そのためにやっているわけだし、みんなが喜んでくれるのもうれしい。だから、チームの勝利のためにみんなを喜ばせたいですね」
その瞬間が、10月30日にやってくる。