上写真=フィッカデンティ監督はC大阪との連続決戦を楽しんで、それを力に変えたいと話す(写真◎スクリーンショット)
「喜びをプレーで表現できれば」
「100個も弁当を食べることは、今後の私の人生で果たしてあるのかな」
マッシモ・フィッカデンティ監督は思わず笑う。AFCチャンピオンズリーグを戦う中で過ごした隔離生活で、出てくる食事は弁当ばかり。それだけ厳しく難しいシーズンだったことを、ユーモアとともに振り返ったのだ。
それでも戦い抜いた。J1では3位争いの真っただ中で、天皇杯ではベスト8入り、ルヴァンカップではクラブで初めてのファイナル進出を果たした。そして、その天皇杯の準々決勝とルヴァンカップの決勝がいよいよ迫ってきた。10月27日と30日。相手はどちらもセレッソ大阪というめぐり合わせだ。
「勝ったら天国、負けたら地獄」
中2日で戦うタフな決戦をフィッカデンティ監督はそう表現する。
「ものすごい期待感とともに緊張感もあり、何かを勝ち取れるか、目の前で逃がすか、というところに来ています。負けたら失望感はものすごいし、勝ったら最高。そういうヒリヒリ感を味わえる、楽しめる状況にいることが最高にたまらない、と選手と話しています。その喜びをプレーで表現できればと思っていますし、こういう状況を味わうことも大切で、それも強さにしたいと思います」
同じ相手と別の大会で連続して戦うというのは珍しいが、どちらも一発勝負。一方に比重を置く、という小手先の細工は意味がないだろう。
「グランパスが今年、決して悪くない成績を残している背景には、目の前の試合に取り組んで、全員で戦う、という同じ考えを持つことがチーム力として出ていることがあります。だから、次に取っておくということはないですし、一番いい状態の選手を使ってしっかり勝つ、そしてまた次に一番いい状態の選手を使う、というシンプルな方法で戦っていくだけです」
C大阪については「状態がいいようですし、最近の試合を見ても強い。みなさんには予想が難しい試合になるのではないでしょうか。五分五分の戦いでなんとか上回れるようにやっていきたい」ともちろん警戒は怠らない。
紙一重の勝負でフィッカデンティ監督が狙うのは、もちろん連勝。弁当を100個も食べることはもう勘弁だけれど、こんな最高の戦いなら何度でも大歓迎だ。