上写真=5月の鹿島戦では登場1分後に劇的決勝弾。小林悠が天皇杯準々決勝でもゴールを狙う(写真◎J.LEAGUE)
勝ち点昨季超えは「意地というか、そういうもの」が直結
小林悠はいまとにかく、「ゴールに飢えている」のだ。
川崎フロンターレがJ1連覇目前である。早ければ11月3日の第34節浦和レッズ戦で勝って、2位の横浜F・マリノスがガンバ大阪に引き分け以下、あるいは川崎Fが引き分けで横浜FMが敗れて決定となる。
「王手」の充実した空気感の中で、中2日で迎えるのが天皇杯準々決勝の鹿島アントラーズ戦だ。今季のリーグ戦ではすでに対戦を終えていて、ともに2-1のスコアで2勝している。
決勝点はいずれもアディショナルタイムの劇的弾。直近のアウェーゲームでは宮城天が驚きの無回転ミドルを突き刺したが、5月にホームで決めているのが小林悠だ。90+3分に出場して1分後に決め切る「等々力劇場」。10月27日のゲームも会場は等々力陸上競技場だ。再現を期待してしまう。
ただ、小林による公式戦のゴールは、8月28日のJ1第27節北海道コンサドーレ札幌戦が最後になっている。空白の2カ月。
「決めないと生きている感じがしないんです。本当にゴールに飢えているので、まず1点決めたい」
本人こそがゴールを最も望んでいる。
J1と天皇杯の「ダブル連覇」に力強く進むには、ある原動力があった。「ふざけんな」である。
「(田中)碧と(三笘)薫が抜けたあと、周りからはきついんじゃないかとか大丈夫かなという見方があったと思います。でも、残った選手が『ふざけんな、周りを見返してやろう』という気持ちがあったと思います」
大黒柱の二人が一気に抜けたあと、ルヴァンカップもAFCチャンピオンズリーグも敗退し、苦しんだ。
「そこで崩れていたら、本当に碧と薫だけのチームだったということになる。そうではないと思わせたかったし、意地というか、そういうものが勝ち点に直結したと思うんです」
清水戦の勝利によって、33試合で積み上げた勝ち点は84。史上最強とまで謳われた昨季に全34試合で手にした83を上回った。それがなによりのエビデンスだ。優勝を手にすることはもちろん、最後まで納得のいく戦いで最高の勝利を重ねるのが、フロンターレ流。
まずは鹿島戦でゴールを。そこから本当のラストスパートを始める。