上写真＝前半終了直前の一瞬のスキに、レアンドロ・ダミアンがゴール。川崎Fがこの1点を守った（写真◎小山真司）
■2021年10月2日 明治安田生命J1リーグ第31節（＠等々力/観衆9,789人）
川崎F 1-0 FC東京
得点者：（川）レアンドロ・ダミアン
「ビルドアップしてチャンスを作れました」と長谷川監督
90分を通して、攻めるFC東京、守る川崎フロンターレという構図で進んでいった。川崎Fは過密日程の5連戦のラストゲーム。足が重いところを突いて、FC東京はまずはアダイウトン、長友佑都、髙萩洋次郎の左サイドのトライアングルを中心に押し込んでいった。
11分にディエゴ・オリヴェイラが左に振ってアダイウトンがゴールへ向かって運び、左外を回った長友がクロス。23分には中盤のプレスからボールが前線にはねて、アダイウトンが一気にペナルティーエリアまで持ち込んでいく。30分にはインサイドを駆け抜けた長友へアダイウトンがスルーパス、ニアサイドの田川亨介に合わせて送り込む。33分には高萩が引き技＆股抜きのコンボで中へ送り、アダイウトンが狙う。
しかしこれだけ攻めても、先制するのは川崎Fなのだった。
45＋1分、家長昭博が左に振ってマルシーニョがゴールに向かってドリブル、外を回った登里享平がパスを引き出してからニアに突っ込んできたレアンドロ・ダミアンの頭に合わせるようにふわりと絶妙のクロスを送って、巧みに逆サイドに流し込んだ。
後半もFC東京が次々にゴールに迫っていく。51分にアダイウトンが単独で突破してから狙い、57分にも長友の左クロスに高萩がヘッド、1分後には青木拓矢のワンタッチパスから永井が左へ抜けて折り返し、ニアにディエゴ・オリヴェイラが突っ込んでくる。73分には右サイドに走ったディエゴ・オリヴェイラがファーへクロスを飛ばし、アダイウトンがダイレクトシュート。
そして74分がこの日最大のチャンス。中村拓海が裏に落としたパスに永井が追いつき、GKチョン・ソンリョンをかわして無人のゴールへ流し込んだ…と思ったら、猛然と戻ってきたジェジエウにかき出されてしまった。
川崎Fは連戦の疲れから我慢の時間が長くなったが、まさに総力戦で乗り切る。63分に谷口彰悟、小林悠、知念慶を同時投入して4-2-3-1の配置に変え、谷口と橘田健人でボランチを組み、右に小林、中央に知念が入り、旗手が左へ、家長昭博がトップ下へとスライドする。81分には山村和也をボランチに投入してさらにポジションを入れ替え、車屋紳太郎が左サイドバック、谷口がセンターバックに移り、FC東京の迫力ある攻撃をしのぎきった。
FC東京の長谷川健太監督は「悔しいです」が第一声。「我々のほうが決定機を多く作っていたと思いますが、決めきる川崎の強さや、こちらの決定機も体を張って防ぐチャンピオンチームの素晴らしい気持ちの部分、最後までしっかりと緻密に戦術が落とし込めていたことを感じました」と振り返った。ただ、しっかリ戦った上での敗戦には手応えもあった。「最近はなかなかゲームをやらせてもらえない展開でしたが、きちっとビルドアップしてチャンスを作れました」と納得できる内容にも言及した。
「勝負の5連戦」として選手とともに戦った鬼木達監督は、「いろいろな形でバトルで戦うことを表現してくれました」と全勝で駆け抜けた選手たちを称えた。過密日程で中2日での試合が2試合続いたその2試合目だったが、「自分たちのサッカーができないときにできないからダメだったということではなく、覚悟を持ってゲームに入って、最後はみんながチームのための思いがあったからこういう形になったと思います」と、一体感をさらに高めた勝利に感無量の様子だった。
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE
