上写真=鬼木達監督は次の相手、FC東京を率いる長谷川健太監督を「勝負に対する徹底が素晴らしく、尊敬している監督です」とリスペクト(写真◎J.LEAGUE)
「やるしかない、やるだけだ」
そこはやはり、優勝を現実のものとしてとらえているチームなのだということだ。
例えば、勝ち慣れていないチームが勝ち進んでいくとき、「優勝」の2文字を口にするタイミングは実は難しい。言葉が独り歩きして余計なプレッシャーになる場合もあれば、言葉に出さないことで逆に意識しすぎてしまうこともある。
ただ、川崎フロンターレは現在のJ1チャンピオン。鬼木達監督は「1試合目から優勝を意識して戦っています」と言うから、まだ7試合を残すタイミングで選手の口から優勝の言葉が出てきても、早くはないという。
「選手には試合数がまだかなり多いときにも言いますし、いまの時期でも言いますね。選手にもそこをぼかしてはいけないとき、というか、優勝争いをしているのかいないのかというようなときにも言い続けてきています。ですから、選手からそういう言葉が出てくるのは不思議ではありません」
9月29日のJ1第28節ヴィッセル神戸戦で3-1の逆転勝利を収めたあと、家長昭博が「やっぱりここから優勝するにあたって大事なのは、引っ張っていくことだと思っています」と堂々と宣言した。
「そういう言葉が(家長のような)ベテランから出てきて、もう一段ギアを上げなければと力強さを感じています。改めて言葉が出たからといって、プレッシャーではなくて、自分たちでやるべきことをやっていく覚悟は常に持っている選手ですし、それを伝えてくれているメッセージとして受け取っています」
試合翌日には、いま売り出し中の宮城天も「優勝という言葉は身近にある」と話していて、こんなところにも王者の「格」が表れる。
鬼木監督が「勝負の5連戦」としたJ1での戦いも、見事に4連勝。FC東京との「多摩川クラシコ」ももちろん勝利で終えるつもりだ。
「ここに関してはもう、やるしかない、やるだけだ、という気持ちですね。相手もそういう気持ちで来ると思いますから、受けずにどう戦えるか。自分たちの形をどれだけ押し出せるかというゲームになると思っています」
過密日程が続くここ数試合は、前半は重たくなりがちだった。だが、次の試合は序盤からアグレッシブなフロンターレらしさ全開で臨みそうだ。