上写真=川崎フロンターレは最大の目標だったACL制覇を、PK戦で逃してベスト16で敗退(写真◎Getty Images)
■2021年9月14日 ACLラウンド16(@蔚山文殊スタジアム/無観客)
蔚山現代 0-0(PK3-2)川崎F
「選手は胸を張って帰ってほしい」と鬼木監督
日本の「絶対王者」川崎フロンターレが、アジア・チャンピオンになるという最大のミッションの道の途中で、PK戦によって敗退を余儀なくされた。
昨年のACLチャンピオンにして、今季のKリーグでも首位を走る蔚山現代。Jリーグで序盤から首位を譲らない川崎F。日韓を代表する両チームの激突は、前半から引き締まった好ゲームになった。
蔚山現代の攻撃のベースは1トップに入った長身のオ・セフン。ここへ早めにボールを送り込んでセカンドボールを回収しつつ、右の快足アタッカー、イ・ドンジュンの突破力を足がかりにした攻撃がスピーディー。さらには前線からのプレスが小気味よく、川崎Fのボール回しを引っかけてはさらに攻めに出て、リズムをつかんでいく。
川崎Fは我慢の時間が長くなった。だが、時間の経過とともに自分たちのリズムをつかんでいって、右サイドを家長昭博、山根視来、脇坂泰斗、橘田健人が絡んでコンビネーションで割っていく。左サイドは小林悠がワイドに入って裏抜けを狙い、45分、45+2分に右からの背後へのパスに反応するなど、押し込んでいった。
後半に入ると様相が一変。川崎Fが前半に温存していたかのように、パワー全開でキックオフから連続プレスでボールを回収、ショートカウンターと即時奪回の連続コンボで自分たちらしさを取り戻すと、圧倒的にボールを握って動かしてゴールに迫る。右サイドのニアゾーンは蔚山現代の弱点で、前半同様にそこに入っていき、左サイドでは71分に登里享平のパスで小林を裏のスペースに潜り込ませるなど、相手の嫌な場所を丹念に突いていった。
押し込まれた蔚山現代だが、守備は大崩れせずに時折カウンターを仕掛けていく。攻撃の選手を次々に送り込んで、パワーを取り戻していった。しかし、徐々に疲れで足が止まって決定機は作りきれずに、このまま0-0で90分を終了。延長戦に突入した。
川崎Fのビッグチャンスは2度。前半のラストプレーで、家長昭博の左からのFKをファーでジョアン・シミッチがヘッドで中央へ、これを知念慶がヘッドで狙うがGKにわずかに触られて決まらない。後半にも116分に左からのコンビネーションプレーで長谷川竜也、遠野大弥、橘田健人、家長、知念とつないで最後は中央に突っ込んできた橘田が狙ったが、シュートはバーの上へ。
結局0-0のまま、運命のPK戦へ。2人が外した蔚山現代に対して川崎Fが一時リードするものの、ペナルティースポット周辺の芝生がゆるく、大きくめくれる状態で、長谷川、シミッチ、家長が決められずに2-3で敗れた。
鬼木達監督は「前半はなかなか難しい時間が多かったですけど、後半は全員で修正していい形でゲームを進められていたので、そこでなんとか1点取りたかったですけど、相手も必死ですし難しかった」と悔しさをにじませた。「選手は最後の最後まで延長戦を含めて走りきってくれました。PK負けは残念ですが、選手は胸を張って帰ってほしいと思います」とねぎらった。
写真◎Getty Images