上写真＝ハットトリックの活躍で名古屋を8強に導いたシュヴィルツォク（写真◎AFC）
■2021年9月14日 ACLラウンド16（@豊田スタ/観衆5,442人）
名古屋 4-2 大邱
得点:（名）シュヴィルツォク3、中谷進之介
（大）セシーニャ、エジガル
・名古屋メンバー:GKランゲラック、DF宮原和也、中谷進之介、キム・ミンテ、吉田豊、MF稲垣祥、米本拓司（46分:木本恭生）、マテウス（90＋4分:藤井陽也）、前田直輝（72分:長澤和輝）、相馬勇紀（46分:森下龍矢）、FWシュヴィルツォク（86分:金崎夢生）
・大邱メンバー:GKチェ・ヨンウン、DFチョン・テウク（33分:パク・ハンビン）、ホン・チョンウン、ジョ・ジヌ、チャン・ソンウォン（81分:イ・グノ）、イ・ヨンレ（57分:西翼）、ファン・スンミン（81分:アン・ヨンウ）、チョン・スンウォン、ブルーノ・ラマ、FWエジガル、セシーニャ
素晴らしいゲームをしたと思います（マッシモ監督）
試合開始直後からボールを握っていたのはホームの名古屋だ。雨の中、ピッチ状態はそれほどよくはなかったが、しっかりボールをつなぎ、敵陣に入っていく。しかし、不用意な形でボールを失っては、一気に自陣まで運ばれるケースが散見。相手の2トップ、セシーニャとエジカルが強力でたびたびカウンターを浴びて、名古屋は攻めのリズムをなかなかつかめなかった。
立ち上がりのリズムの悪さが失点につながってしまう。4分、ボックスの外からセシーニャにミドルシュートを決められた。集中力を欠いていたわけではない。スローインの流れから一瞬、身構えてしまい、そこを突かれた。堅守を誇る名古屋がホームで先制を許した。苦しい展開も予想されたが、すぐに同点に追いつく。ネットを揺らしたのは、今夏加入のストライカーだった。
吉田のクサビを収めた『クバ』ことシュヴィルツォクが左サイドの相馬につなぎ、そこから前田へ。前田は相手DFを引っ張りながらボックス内でヒールキック。再びボールを受けたシュヴィルツォクが、ボックス左から右足を振り、見事にネットを揺らした。
試合を振り出しを戻した名古屋だが、その後もカウンターを浴びるケースは続いた。人数をかけて守り、ほぼ2トップで速攻を仕掛ける相手に手を焼く。とくに前半は攻守のリズムが悪かった。そして28分にはシンプルな形で失点してしまう。左サイドからフリーでクロスを上げられ、エジカルにヘッドを決められる。ボックス内に人数は足りていたが、またしても寄せ切れず、ワンチャンスをモノにされることになった。
前半は1-2で終了。タイトな守りと効率の良い得点でウノゼロ勝利を重ねる名古屋らしくない戦いぶりだった。ところが後半、名古屋は見違えるようなプレーを見せる。けん引車となったのは、またもシュヴィルツォクだ。
63分、途中出場の森下と前田が浮き球による巧みなパス交換で左サイドを攻略すると、ボックス左に進入した森下のクロスを待ち構えていたシュヴィルツォクがヘディング。見事にネットを揺らした。さらに、である。その２分後だった。
吉田のロングフィードはやや球足が長くなったが、敵陣左サイド深い位置まで猛然とダッシュ。ホン・チョンウンからから強引にボールを奪い取ると、そのままボックス内に持ち込んで、右足を一閃。勝ち越しゴールを叩き込んだ。
諦めずに走り、相手にアタックし、ボールを奪い取り、そしてネットを揺らした。気迫と勝利への執念が凝縮したプレー。後半開始時に選手たちは円陣を組んだが、その輪の中でもシュヴィルツォクは仲間たちに言葉を投げかけていた。そんな男の魂のプレーにチームが奮い立たないわけはない。ポーランド代表FWのハットトリックで勢いを増した名古屋は、本来のアグレッシブな戦いをピッチで表現してみせる。79分には左CKの場面で中谷がヘディングを叩き込み、追加点。疲れの見える相手の心を折るゴールで、勝利を決定づけた。
「とても幸せです。3点を決めることができましたし、チームも次のラウンドに進めることができました」
プレーと姿勢でチームを鼓舞し、自らのゴールでネクストラウンドの扉を開いたシュヴィルツォクはそう言って胸を張った。マッシモ・フィッカデンティ監督も「戦術的な理解度がすごく高い相手に、2度リードされながらひっくり返して、そのあとはやられずに我々は素晴らしいゲームをしたと思います。とくに後半は素晴らしいサッカーができた」と試合を振り返った。
今季のACLの決勝トーナメントは一発勝負。名古屋は鮮やかな逆転劇で、日本勢として8強一番乗りを飾った。
