上写真=紺野和也が「復帰戦」でいきなりアシスト。順調な復帰に表情は明るい(写真提供◎FC東京)
「筋力もケガ前よりも強くなっています」
あっという間の「復帰宣言」だ。紺野和也は9月13日の練習試合(対戦相手非公表)で左サイドハーフとしてピッチに立つと、キックオフからフルスロットル、2分に細かいステップとスピードを生かした自慢のドリブルで左深くを突破してからクロスを送って、中央で渡邊凌磨が合わせる先制ゴールをアシストしてみせた。
この日が実戦復帰だった。3月3日のルヴァンカップ第1節徳島ヴォルティス戦で負傷して交代し、左ヒザ前十字靭帯損傷で16日に手術、全治まで6〜8カ月と発表された。
そこから、初めて実戦形式のピッチに戻ってきたのだ。
「自分が思っていた以上に感覚は悪くはなかったので、復帰戦にしてはある程度できたかなと思います」
時間制限付きで30分ほどとなったプレーを慎重に振り返りながらも、声は弾んでいた。なにより、アシストという目に見える結果が出たことは大きい。もう恐怖心もないという。
「怖さはいまあまりない状態で、筋力もケガ前よりも強くなっていますし、両足の左右差もほぼないので本当に良い状態です。あとは再受傷しないようにケアはしっかりとこれまで以上にやっていきたいです」
さらにはパワーアップまで図れているのだから、頼もしいことこの上ない。
予想よりも早いと感じる復帰には、多くの人の協力があったと感謝の言葉を繰り返し口にする。その一人が林彰洋。昨年11月14日に右ヒザ前十字靭帯損傷、外側半月板損傷という重傷を負って、紺野よりも先に苦しみに直面している。
「アキくんからはいろんなアドバイスをもらったんですけど、筋力の大切さとか、細かいところまで聞いたり調べたりしてやってたのでそれを聞いて、ここが引っかかるからここは緩めた方がいいよとか、ここがこうなってるから引っかかりが出るんだよとか、細かいところまで教えてもらいました。それがあったのでスムーズに復帰できましたね」
助け合いながらともに復帰を目指す仲間がいるのはーーケガ人が多いのはいいことではないがーー、やはり大きな意味を持つ。
紺野がアシストを決めた練習試合が行われたのは、J1第28節で柏レイソルを相手に攻め続けながらも守備を固められて1点も奪えなかった翌朝だ。
「ああいう状況では自分のようなドリブラーは必要になってくると思うので、1日でも早くコンディションを仕上げて試合に関わってチームの勝利に貢献したい」
紺野のドリブルがあったら柏戦ももしかして…と考えてしまう。
「いい流れを自分が関わって持ってきたいと思いますし、チームを助けるじゃないですけどそういう気持ちでやっていきたいので、1日1日を大切にやっていきたいと思っています」
トップフォームまでにはもう少し時間はかかりそうだが、まずは長谷川健太監督が選手起用に悩むような状態に仕上げていくつもりだ。