上写真=早川知伸監督は柏戦のメンタル面の反省を生かして、チームコンセプトを再確認した(写真◎J.LEAGUE)
「ビルドアップの出口のところを考えないと」
時計をおよそ2週間の中断前に戻すと、横浜FCは8月29日のJ1第27節で柏レイソルに粘り強く戦いながら、1-2で惜しくも敗れた。気になったのが早川知伸監督の反省の弁。いわく、柏のハードな球際の競り合いや微妙なジャッジによって「冷静さを自分自身も失って」いて、「敗戦に対して自分自身の責任を一番感じて」おり、「チーム全体として、冷静さを欠いた、我慢できなかったところがこの敗戦につながった」としたのだ。つまりは、メンタル面からくる自滅。
だが、切り替えはもちろん済んでいる。
「オフを挟んだあとのミーティングの冒頭で、自分たちがなぜこういうふうになったのかの原因を、自分の責任を含めて選手に伝えました」
早川監督はまずメンタルの修復から再始動を始めた。そのマネジメント方法は、次にしっかり目を向けること。
「浦和戦に向けて準備をする中で、何をすべきかを改めて共有しました。次への目標を明確にすることで充実してトレーニングできて、練習試合の中でも競争しながらいいパフォーマンスを見せてくれて、メンタル面の回復はできました」
その浦和レッズ戦から残り11試合のサバイバルが始まる。浦和とは今季はすでにリーグ戦とルヴァンカップの計3試合で対戦していて、3敗。0-2、1-2、0-2といずれも複数失点していて、一矢報いるためにもまずは守備から入ることがポイントになりそうだ。
浦和はルヴァンカップ準々決勝で川崎フロンターレをアウェーゴールで上回って、ベスト4に勝ち進んでいる。その2試合では江坂任と小泉佳穂の技巧派MFが2トップを組んで先発して、勝負どころでリアル・ストライカーのキャスパー・ユンカーが登場するなど、選手層の厚みを十分に生かした試合運びをしてきた。
「人によってやることを自由に変化できる部分が強みになっているので、自分たちは出どころを消さなければならないと思っています。ビルドアップの出口のところを考えないといけない」
同じように江坂と小泉が2トップを組むなら、代わる代わるボランチの背中側で顔を出して縦パスを引き出しつつ、もう一方のFWやサイドハーフが空いたスペースに巧みににもぐり込んで守備を崩してくる。あるいはユンカーや明本考浩なら、俊足や巧みなポストワークから繰り出すスピーディーな攻撃がやっかいだ。
「チームのコンセプトでもある、ライン間を使わせないコンパクトさがキーポイントです。相手のこともありますが、しっかり忠実にコンセプトを守って、チャレンジ・アンド・カバーなど当たり前のチームのタスクをまっとうする形が理想だと思っています」
残り11試合に残留をかけるが、まず集中するのは目の前の1試合。その「当たり前」の姿勢にも変わりはない。