セレッソ大阪に加入した乾貴士が2日、加入会見を行なった。前日1日にルヴァンカップ準々決勝第1戦のハーフタイムにも登場し、すでにファン・サポーターに挨拶を行なっていたため、「話すことないですですよ」と最初にコメントしつつ、オンラインによる会見ではセレッソに対する熱い思いを語った。

上写真=およそ10年ぶりにセレッソ大阪復帰が決まった乾貴士(写真提供◎セレッソ大阪)

元気な選手が少ない。そこは自分が担えれば

「セレッソ大阪に復帰した乾貴士です。オファーをいただいて、ずっと待ってもらって自分のタイミングとしてもすごく良いタイミングで加入することができました。心機一転というか、チームも変わるところで、そこに自分も加わって、良い競争ができたらと思います。応援よろしくお願いします」

 乾がセレッソ大阪に10年ぶりに復帰した。海外で多くの時間を過ごしてきたが、その間も常にセレッソのことは気にかけていたという。日本でのプレー先としてセレッソを選んだ理由について問われると、こう答えている。「いつかはこのチームでやりたいと思っていた。Jリーグに帰って来るならセレッソ大阪でやりたいという思いではいました。10年間、海外にいましたけど、セレッソの試合はずっと見ていましたし、オフシーズンには練習に参加させてもらっていた。復帰の理由というか、このチームがただただ大好きで、オファーをいただいて、今がそのタイミングなのかなと思って決めました」。

 乾は、セレッソ加入以来、感謝の思いを持ち続けてきた。それはプロサッカー選手として迷いの中にあったときに、手を差し伸べてもらったからだという。「自分がプロになって苦しんでいた時に助けてくれたのがセレッソ大阪というクラブだった。そこから海外に行って、セレッソサポーターの方にもいいところを見せたいという思いが常にありましたし、応援してもらっていたと思う。そういうサポーターの前でやりたいという思いはありました。日本で言えば、ホームのチーム」。横浜F・マリノスで思うように力を発揮できずにいた乾は、2008年に当時J2だったセレッソ大阪に期限付き移籍で加入。プレー機会を得て結果を出し、完全移籍を果たすと、翌年にチームのJ1昇格に貢献した。日本に戻るなら、その場所は自身がブレイクしたセレッソ大阪以外になかった。

 会見に同席した森島寛晃社長は、「大変大きくなって帰ってきてくれたとうれしく思います。サッカーにかける情熱は本当に素晴らしいものがありますし、いろんな経験をして、クラブを一段と引っ張る存在になってくれると思います」と期待を寄せた。乾は先ごろ監督に就任した小菊昭雄監督とも旧知の間柄。小菊監督がコーチ時代には「アドバイスもくれましたし、ときには厳しく怒ってくれた。常に見守ってくれていて、そういう人といつか一緒にやってみたいという思いはあった。今回、こうなってすごくうれしい。小菊さんからは今のまま、そのままやってくれたらみんながついて来てくれると思うからと言われました」と、指揮官からもチームのけん引車となることを期待されていると明かした。

「攻撃のところはもちろんそうなんですけど、守備のところは、やっぱり今は甘いところがあると思うので、前から行けるところは、自分の特長でもあると思っているし、そこは求められていると思っています」

 プレー面で自分に求められていることとして、ゴールに絡む仕事に加えて、ハイプレスや球際の激しさなど、守備面の改善を挙げた。長く海外で戦ってきたことで培った経験をチームに還元したいと話す。数字面の目標設定はしていないものの、「まずは良いチームをつくるということを考えています。そこをしっかりやっていきたい。なかなか難しいし、結果も残していないといけないですけど、自分が、というよりもみんなでチームで勝てればいいと思います」とチームファーストで自身の全てを注ぐ覚悟を口にした。

 さらに「正直に言うと、元気がなくなっているところがあるかなと。(昔は)もっとうるさい選手がいた。うるさいというか元気な選手。今は、そういう選手がなかなかいないので、それは自分が担っていけたらなと思います」と、チーム内に「元気」をもたらす存在になりたいとも言った。

 強い個性と明るいパーソナリティー。乾の加入は、10年前と同じように、ピッチ内外でセレッソ大阪にポジティブな空気をもたらすことになりそうだ。


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