川崎フロンターレはJ1第24節で柏レイソルと対戦し、スコアレスドローに終わった。無得点は悔しい結果だったが、収穫もあった。その一つが途中出場した宮城天の存在だ。リーグ再開後、2試合連続で途中出場。徐々に存在感を高めつつある。

上写真=58分から途中出場した宮城天(写真◎J.LEAGUE)

■2021年8月14日 明治安田生命J1リーグ第24節(@三協F柏/観衆3,931人)
柏 0-0 川崎F
得点:なし

積極的な仕掛けとシュート

 ピッチに入ったのは58分。長谷川竜也に代わって左のFWを務めた。スコアレスの状況。当然、期待されるのはチャンスメークであり、ゴールだった。

 左サイドをえぐったのは、登場から5分後だ。敵陣左サイドのスローインの流れから家長昭博のボールを受けると縦に仕掛けてマーカーの高橋峻希を振り切り、ゴールライン際まで進入。鋭いクロスを入れて脇坂泰斗のシュートを導いた。惜しくもゴールはならなかったが、宮城の特長が表れたシーンだった。

「最初に縦に行ったのは、力試しという感じで。結構試合に入ったときの最初のプレーでは、意識して縦に行くようにしてて、そこで相手を見てどっちかを選んでいるんですが、そのときは相手の対応が中途半端だったので縦に行けばいけるんじゃないかと思って仕掛けました。日頃から言われている、引いたらえぐるということを意識していました」

 相手と接触して少し「ボーっとしていた」間に、柏に退場者が出て、しばらくそのことに気付かずに一心不乱にプレーしていたという。「来たボールを、自分の長所を出して得点に絡むということだけを考えてやってました」。その無心のプレーが、チームの攻撃を活性化させていた。

 73分には脇坂のパスを右足でダイレクトで叩くがキム・スンギュの好守に遭ってゴールならず。82分にはボックス左から右足で相手のタイミングを外して狙ったが、シュートはわずかに枠を外れた。さらにその3分後、再びボックス左でボールを受けると、眼前の高橋峻を左にかわして右足を振る。シュートは右ポストを叩いた。決め切れなかったがしかし、一連のプレーは宮城の才を感じさせるものだった。

「シュートのところは、自分はいろいろなパターンを持っていると思っていて、フィーリング的にも頭の判断のところは良い状態なのかなと思います」と好調なことを認めつつ、「手応えは3割くらい。悔しさが7割くらいですかね」と、本人は決め切れなかったことを悔やんだ。

 これまで試合を決め切るゴールやチャンスメークでチームをけん引してきた三笘薫がこの夏に移籍し、同じポジションを務めている宮城に対する期待は大きいものがある。宮城自身もその自覚は十分で「自分がこれからやるポジションは薫さんがいたポジション。圧倒的な存在感を放っていたし、自分も尊敬する先輩。薫さんみたいにはうまくはいかないと思いますが、自分の形を出して自分の色でチームに貢献できたらいいと思います。自分の色を出しつつ結果を出さないとこのポジションには居られない。そういう面は意識したい」と覚悟をにじませている。

 この日プレーしたのは30分強だったが、大きな可能性を感じさせた。宮城の色を出してチームを勝利に導く日が訪れるのは、そう遠くないだろう。


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