上写真=シミッチは川崎Fの最初のシーズンでピッチに立ち続け、中盤のボスとしてチームを引っ張っている(写真◎J.LEAGUE)
「代わりに入る選手が活躍する場所がある」
背番号6は出ずっぱりなのである。
リーグ戦は23試合中、20試合に出場し、AFCチャンピオンズリーグでも6試合のうち3試合でプレー。帰国後も天皇杯を含めて3試合すべてでピッチに立って、本当によく働くのだ。
「シーズンも半ばを迎えて、どのチームのどの選手にも疲労感はありますからね。ただ、自分たちは(ACLの前後で)40日ほどの隔離生活をしてきて、少し他のチームよりは違う感じはしますが、でも、優勝を狙うチームというものは必然的に試合は増えますし、その中で戦ってタイトルを取らなければいけないものです。メンタルは常に強く持つようにやってきているし、中断期間には休みをもらえて、隔離生活で離れていた家族と有意義な時間を過ごせました」
涼しい顔である。
そのACLから中断期間にかけて、田中碧、三笘薫がヨーロッパに旅立つことになった。田中とは中盤のトライアングルを形成する仲間として、左ウイングの三笘とは彼を走らせるパサーとしての関係を築いてきた。相棒2人を失うことになる。だが、2人の挑戦を歓迎している。自身もポルトガル、イタリアでのプレー経験がある。
「正直、これというものを言葉として表現するのは難しいですが、経験から言えるのは、コミュニケーションを取ることは重要になってくるということ。2人ともチームの移動の時間を活用して英語の勉強をしているのを目にしていました。彼ら自身が考えながら勉強してきたので、より早くそのチームにフィットすることができると思います。ピッチの中で言えば2人とも素晴らしいので何も言う必要はありません。コミュニケーションを取って馴染んで、その国の文化を学んでいければ生活に関してもフィットするでしょう」
シミッチがこれだけ長い時間、プレーして、活躍しているのも、やはりコミュニケーション能力のたまものだろう。日本語もバッチリ? の問いかけには「はい!」と笑いながら元気よく答えた。
2人が抜けたからといって、チーム力を落とすわけにはいかない。
「自分たちのチームが良いグループだと思うのは、サッカー選手としてもそうですが、人としてみんないろいろな経験をして成長しようと考える選手ばかりだということです。だからここには、代わりに入る選手が活躍する場所があります」
シミッチには中盤のボスとして、仲間たちを気持ちよくプレーさせる役割がより一層求められる。
「一緒にトレーニングしてきたけれど試合に絡むことができていなかった選手が、ここから先に関わってきます。日々の練習で理解し合っているし、試合時間が増えれば増えるほどいいチームになります。だから、これまでやってきたように変わらずお互いに支え合いながらできると思います」