上写真=マッシモ・フィッカデンティ監督はシーズンを見通して、ここから先の栄光のためにいまは地に足をつけて前に進む(写真◎J.LEAGUE)
弱い思考に逃げずに強くやりきる頭を持たせる
名古屋グランパスのマッシモ・フィッカデンティ監督は自分たちに問いかける。
「自分たち次第で楽しめる状況にあるとわかっています」
過酷なAFCチャンピオンズリーグから帰ってきて、J1リーグでは連敗を喫した。サガン鳥栖に1-3、横浜FCに0-2と堅守の名古屋らしくない。リーグ戦でいえばここ5試合で2分け3敗と勝ち星がない。
「もちろん、成績についてはもっといい結果がほしいと言いたくなる状況も分かります。ただ、順位表を見たらいまどこにいるか、そして他の大会でもどれだけの可能性が残っているか。自分たち次第で楽しめる状況にあるとわかっています」
いまは苦しいが、確かにJ1では1試合消化が少ない状況でまだ6位で、ACL圏内からはわずか4ポイント差。ルヴァンカップはベスト8からの参戦で、天皇杯も勝ち抜いていて、ACLも次ラウンド進出を決めている。タイトル獲得に向かう道の途中でチーム全体を見渡すいま、悲観することはないと強調する。
「予定が変わって振り回されていますが、それでずっと『できません』ではなくてもう一度立て直しをしなければいけない段階で、どこを目指すか、何をしなけれいけないのかははっきりしています。あきらめず妥協せずに、みんながどれだけ全力でできるかだと思います」
その「みんな」には監督や選手、スタッフだけではなく、クラブに関わるすべての人、もちろん「ファミリー」と呼ばれるファン・サポーターも含まれると訴える。
「未来のことですから何が起こるかはわかりませんが、やりきること、やり返す能力が備わっていると思っています。ポジティブなエネルギーに満ちたグループであると感じてもらえるようにしていきたい」
反骨心はフィッカデンティ監督の最大の強みかもしれない。
「何か特別な勝ち方をしてすっきりするのではなくて、勝ち続けることのできるやり方を植えつけています。神頼み的にではなくて、勝つべくして勝つことに取り組んでいます」
逆襲のために、意外性や刹那的な何かを求めてはならず、地に足をつけて準備をすることに集中している。フィジカルの調整ももちろん難しいが、何よりまずは頭の中の整理だ。
「同じアイディアを持って、同じイメージを持って、同じ頭を持ってつながらなければいけません。フィジカルより思考の部分でダメージが残っていて、試合に入りきれずに集中できないというところに、一番影響が出ています。でもそこで弱い思考に逃げずに強くやりきる頭を持たせることが、いま一番にやらなけれいないけない私の仕事です」
悲観していないのは、強烈な自信があるからだ。
「極端に言うと、選手にやってもらうようにする自信はありますし、それに選手が応えることを信じているのです」
またも中2日で横浜F・マリノスとアウェーで対戦。まずはその戦いに、「勝つべくして勝つ」ポリシーがにじみ出るはずだ。