上写真=赤いユニフォームに身を包んだ江坂任。移籍が発表された6月25日から練習に参加し、記者会見にも臨んだ(写真提供◎浦和レッズ)
「サッカー人生は短いので、こういう結論に」
決め手は「魅力的なサッカー」だった。
「レッズのサッカーが自分のプレースタイルにフィットすると思いましたし、リカルド・ロドリゲス監督のサッカーをこれから理解して、特徴を出せると思います。レッズの掲げるタイトル獲得というところに自分の力を出せればと思っています」
6月25日に浦和レッズが柏レイソルから獲得したことを発表したのが、MF江坂任。抜群のサッカーセンスと攻撃に必要なテクニックを完備するアタッカーだ。
背番号10をつけていた選手をシーズン途中に獲得するという形になって、驚きを持って迎えられた。西野努テクニカルダイレクターの説明によれば、実現の可能性が低い「取れたらいいよねリスト」には以前から名前が入ってはいたが、6月に入ってから急転直下で決まった補強だったという。
「10番でキャプテンマークを巻かせてもらったこともあって、でも自分の成長もありますし、サッカー人生は短いので、こういう結論にさせてもらいました」
それが江坂の決断だった。
理由となった「リカルド・ロドリゲス監督のサッカー」とは、ボールとともに進んでいくスタイル。
「ボールを保持している時間が長いので、その中で多くボールに絡みたいですし、後ろと前をしっかりつなぎ合わせるようなプレーを求められていると思うので、そこを出せればと思います」
「攻撃ではどの選手でも流動的にポジションを入れ替えながらやっているので、そこに魅力を感じます。攻撃が多彩なので、そこで自分が生きるかなと感じています」
シンプルで無駄のないコメントを聞けば〈前と後ろをつなぎ合わせる〉〈流動的〉というあたりがキーワードになりそうだ。〈つなぎ合わせる〉という点では、キャスパー・ユンカー、興梠慎三をはじめとした得点力の高い選手に、さらに得点を取らせることが託されているという。
「距離感とコミュニケーションのところは大事かなと思います。常にストライカーを見ながらいい準備をして、いいパスを供給できればなと思います」
「何をしたいかを理解して、気持ちよくプレーさせることです」
〈流動性〉についても、同じく距離感という言葉を使って意識しているところを説明する。
「周りの選手との距離ですね。ほかの選手たちがどこにいるかを意識しています」
そして、その上でゴールだ。リカルド・ロドリゲス監督からはこんな言葉をかけられたという。
「攻撃の部分での期待をしていただきました。最後のところのクオリティーで得点に絡んでほしいということは言われました」
大宮アルディージャ、柏レイソルで過ごした過去4シーズンのJ1で、リーグ戦のシーズン最多ゴールは9。2021年はここまで柏で16試合出場2得点だ。魅力的な新チームでその能力を思い切り使うことができれば、初のふたケタ得点も可能だろう。そうすれば、「チームのタイトルに貢献する」という最大の目標に手が届くはずだ。
■プロフィール
江坂 任(えさか・あたる)
・生年月日:1992年5月31日生まれ(29歳)
・出身地:兵庫県
・身長/体重:175cm/67kg
・ポジション:MF
・背番号:33
・経歴:ウッディSC→三田市立ゆりのき台中学校→神戸弘陵学園高校→流通経済大学→ザスパクサツ群馬→大宮アルディージャ→柏レイソル