2021年6月22日、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループGのグループステージ第1節が行なわれ、名古屋グランパスはマレーシアのジョホール・ダルル・タクジム(JDT)と、ラジャマンガラ・スタジアムで対戦。相手のタイトな守備に苦しみながらも、名古屋らしい戦いぶりで1-0の勝利を飾った。

上写真=白星発進を飾り、試合後の会見に臨んだマッシモ・フィッカデンティ監督(写真提供◎名古屋グランパス)

■2021年6月22日 ACL・G組GS第1節(@ラジャマンガラ・スタジアム/無観客)
JDT 0-1名古屋
得点:(名)阿部浩之

・JDTメンバー:GKファリザル・マーリアス、DFクナンラン・スブラマニアム(65分:マシュー・デイビス)、マウリシオ、シェーン・ロウリー、コービンオング(89分:アズリフ・ナスルハク)、MFレアンドロ・ベラスケス、ナチョ・インサ、アフィク・ファザイル(65分:サフィク・ラヒム)、FWサファウィ・ラシド(65分:ラマダン・サイフッラー)、ベルクソン、アリフ・アイマン(75分:アヒアル・アブドゥルラシド)

・名古屋メンバー:GKランゲラック、DF成瀬竣平(63分:宮原和也)、木本恭生、中谷進之介、吉田豊、MF稲垣祥、米本拓司、マテウス(84分:齋藤学)、阿部浩之(63分:柿谷曜一朗)、相馬勇紀(84分:前田直輝)、FW山崎凌吾(72分:長澤和輝)

プレーを止めずスキを逃さず

 均衡を破ったのは、60分だった。右サイドをマテウスが突破し、折り返したボールにボックス内に進入していた成瀬が右足を合わせる。ジャスミートできなかったが、ボールはゴールの右側へと走り込んでいた山崎につながった。相手の守備陣は成瀬がシュートを打ち、そしてボールが転がったときに一瞬をプレーを止めた。

 名古屋は、そのスキを逃さなかった。相手GKをスクリーンするようにボールを収めた山崎は、即座に中央でフリーになっていた阿部へパスを送る。阿部は冷静に右足を振るだけでよかった。

 プレーを止めずにやり切った名古屋と、虚を突かれるように動きを止めたJDT。試合開始から激しくボールを争い、素早い切り替えから攻め合い、守り合っていた両チームだが、この一瞬に生まれた差が、勝負を分けることになった。

「難しいゲームになると思っていた。その中で絶対に焦ってはいけなかった。この試合がどういう試合であるのか、しっかりと解釈できたことがポイントになった」

 フィッカデンティ監督はそう言って初戦をモノにした意味を語った。キャプテンマークを巻いて戦い抜いた米本は「非常に慣れない環境の中で、難しい試合でした。堅かったですけど、しっかり勝てて良かった。日本を代表して来ているので、この調子でリーグ(=グループステージ)を突破したい」と初戦で勝ち点3を取ったことが大きいと説明した。

 得点は1点だけだったが、名古屋はこの日、五輪代表メンバーに決まった相馬とマテウスの両サイドが何度も突破を図り、素早い切り替えから相手ゴールに迫ることができていた。相手の強度や戦いぶりを試合開始直後にしっかり把握し、リスクを管理しつつ攻め手を探る戦いぶりは、実に名古屋らしいもの。結果、堅く入ってウノゼロで勝ち切った。望み通りの好スタートと言えるだろう。


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