上写真=一度は喜んだゴールも幻に。しかし長谷川竜也(中央)は切り替えて、追加点をアシストした(写真◎J.LEAGUE)
■2021年6月2日 明治安田生命J1リーグ第21節(@ニッパツ/観衆4,855人)
横浜FC 0-2 川崎F
得点:(川)小林悠2
「弱いボールよりもシュート性のパスにしようと」
「初ゴール」だったのだ。喜びが弾けるのも当然だった。
15分にジェジエウが最終ラインから前方へ、小林悠がヘッドで触って流したところを、左から走り込んだ長谷川竜也が拾ってゴールに向かい、GK南雄太と交錯しながらも蹴り込んでゴールネットを揺らした。ついに今季初ゴール! 小さくだがガッツポーズも飛び出した。
しかしこれは、オフサイド。VARによってゴールは認められなかった。小林がヘッドした瞬間、長谷川はわずかにラインを超えていた。
「決まったら初ゴールだったので、悔しかったですね。でも、(オフサイドラインを)ちょっと出ていたということで自分のミスなので。ただ、結果を出せるところに常にい続けるのが大事なので、切り替えてできました」
それが実る瞬間がやってくる。67分に中盤で脇坂泰斗が相手のミスからボールを収めるのを見て、迷わず左サイドのスペースに走り出た。そこに絶妙のボールが送られてくる。持ち込んでシュート、と思いきや、選んだのはパスだった。
「1回目はシュートを打ったので、2回目に抜けたときもシュートを考えたんですけど、悠さんの声が聞こえたんです。練習からやっていて、悠さんは見なくてもいる場所がわかるし、声も出ていたので信じて出しました」
58分の同じようなシーンではシュートにいったが右へ。だから今度は、逆サイドのポスト近くにいた小林にていねいに届けた。小林は無人のゴールにプッシュして、追加点が生まれた。
「悠さんと話していたんですけど、キーパーとディフェンダーの間に出すときは、弱いボールよりもシュート性のパスにしようと。その狙い通りにパスができました」
アシストも、今季初めてだ。
この試合は、谷口彰悟と山根視来が日本代表へ、三笘薫、旗手怜央、田中碧がU-24日本代表に参加していて不在だった。
「代表組がいないから勝てないと言われたくない、と、心の底でみんな燃えていたと思います。苦しい時間はあったけれど、勝ちきれることで層の厚さを見せることができました」
5人がいなくても川崎フロンターレは強い。自らの「幻のゴール」から切り替えて決めた「今季初アシスト」で、それを知らしめてみせた。価値ある勝利だ。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE