上写真=鹿島戦のアディショナルタイム、小林悠の劇的決勝弾が決まって、鬼木達監督も吠えた!(写真◎J.LEAGUE)
「1パーセントでも勝利の可能性が高くなるなら、そちらを選びます」
川崎フロンターレの鬼木達監督が、J1最速で100勝を達成した監督になった。J1第17節の鹿島アントラーズ戦で、交代直後のアディショナルタイムに小林悠が劇的な決勝点を決めて2-1の勝利。数多くの祝福の声に「たくさんのメッセージをいただいて、改めてすごいことなんだな、とみんなで成し遂げたことを実感しました。自分の歴史はフロンターレの歴史ととらえています」と感謝を示した。
自身がプロキャリアを始めた鹿島とのゲームで、当時のチームメートで川崎Fでは監督とコーチという間柄で支えた相馬直樹監督からもぎ取った記念の勝利、という物語に彩られた。記念グッズも作られて「このクラブは本当にやることが早い」「ありがたいけど照れくさいほうが強いですね」と笑った。
だが、浮かれるわけにはいかない。中2日で横浜FCと戦うスケジュールだ。しかも、日本代表に選ばれた谷口彰悟と山根視来、U-24日本代表に選ばれた三笘薫、旗手怜央、田中碧を欠いて戦う。
普通ならレギュラーが5人抜けてリーグ戦を戦う事態にクレームも入れたくなるだろう。でも、コロナ禍で致し方ない面もあるし、何よりも鬼木監督はほかのメンバーにチャンスが巡ってくることでチームの底上げが図られることを喜ぶのだ。どんな組み合わせで戦うのか、本当に興味深い。
「まさにそこがすごく考えているところです。いろいろな意味で先を見ながらやらなければいけないですけど、いままでやってきた取り組みのとおりに目の前の1試合に勝てるかどうか、その基準をしっかり持ってやらなければいけないと思っています。1パーセントでも勝利の可能性が高くなるなら、そちらを選びます」
理想主義的現実主義、とでも言うべきか。チームのボリュームを大きくすることだけを目標にリーグ戦の大事な1試合を戦うつもりはなくて、勝利を徹底的に求めた上でチーム力を高めていく、という順番を間違えてはいけないというのだ。
それならなおさら、横浜FC戦のメンバーや交代策が気になる。それを見れば、鬼木監督がどうやって勝とうとして、その先に何を見据えているのかがわかるかもしれないからだ。
「それほど大きなことではないですし、毎試合考えていることですからね。ただ今回は、普段のスタートで出ている選手とは違う組み合わせの中で、誰と誰が組んだらどれぐらい力を出せるのか、誰が引き出すのかというのは考えています」
選手たちにとっても、大きなモチベーションとともに臨めるはずだ。少なくとも5つの枠が入れ替わるのだから。
「最終的にはみんな、力は持っているんです。それを出せるかはメンタル的なところだったり、普段の取り組みを試合の緊迫した中で、強度の高い中で出せるかは、試合を意識してトレーニングしているかが大きな差になっていくんです。だから(小林)悠は決めるんだよなと思うんです。普段の取り組みの中で、どれぐらいゲームを意識してやっているかが本当に大事です」
そんな高い意欲を持つ「新しい5人」の力で、101勝目とその先の勝利を積み重ねていく。