浦和レッズは22日にヴィッセル神戸を下し、リーグ3連勝を飾った。好調の要因を語る上で欠かせない要素の一つが堅固な守備だろう。3試合連続の無失点勝利を導いているのは、話題のルーキーだけではない。

上写真=全試合に先発し、チームをけん引している槙野智章(写真◎J.LEAGUE)

■2021年5月22日 明治安田生命J1リーグ第15節(@埼スタ/観衆4,917人)
浦和 2-0 神戸
得点:(浦)田中達也、キャスパー・ユンカー

イニエスタのパスを読み切る

 18歳のGK鈴木彩艶はリーグ戦デビューから3戦連続で無失点勝利を実現した。しかも、ベンチに座るのは日本代表の西川周作である。自然、その活躍は大きく報じられた。ルーキーがデビュー戦から3戦連続でクリーンシートを達成するのは1995年の川口能活以来、史上2人目の快挙。おまけに5月20日には、飛び級で東京五輪を戦うU-24日本代表にも初選出されたのだ。騒がれるのも無理はない。

 ただ、22日の神戸戦では守護神の前で体を投げ出して守る槙野智章の働きも目を引いた。14分にイニエスタの鋭いスルーパスのコースを読み、足をぐっと伸ばしてカット。25分にもイニエスタからのパスを受けた佐々木大樹のドリブルを阻止している。前半は相手に押し込まれる時間帯が長かったものの、ゴール前で何度もピンチを防いだ。

 後半に入っても集中力は途切れることはなかった。64分にはGK鈴木が弾いたボールをドウグラスに詰められるが、素早くシュートブロックに入った。新人守護神のビッグセーブにスポットライトは当たっていたが、そのあとにしっかりフォローしたセンターバックの仕事ぶりにも光るものがあった。脚光を浴びるGKもその辺りは理解している。

「味方に助けられていることが多い」

 ただの謙遜だけではない。後半からキャプテンマークを巻いたナンバー5はチームを鼓舞しながら、守備陣を統率。敵陣に押し込んだ後半のラインコントロールも安定していた。攻撃面に目を向けても、ビルドアップでは積極的にミドルパスをサイドに送るなど、チャレンジを続ける。試合を重ねるごとにドリブルで前に持ち運んで、相手のプレスをはがすなど、プレーの幅はどんどん広がっている。リカルド・ロドリゲス監督の信頼は厚く、開幕からリーグ戦全15試合にすべて先発フル出場。

「いい監督が来てくれた。僕の持ち味をもっと引き出してもらえると思う。シーズンが始まれば、僕の新しい一面が見えるはず」

 シーズン前に本人が話していた言葉のとおりだ。浦和では節目の10年目。イニエスタと同じ誕生日に34歳を迎えたセンターバックは、いま円熟期を迎えている。ピークはこれからだ。

取材◎杉園昌之


This article is a sponsored article by
''.